11月は、各学年で森林公園や高良山～吉見岳へのハイキング、山登りに出かけました。

10月号で植物学者、牧野富太郎について記述し、虫や昆虫に比べて植物に興味を示す子どもは少なくなった。その原因は、身近に草花などの植物が溢れる自然環境が無くなったことだとも記述しました。

　子どもたちと出かけた高良山系は多様で豊かな植生をもっています。登山道を登り始めると見つけたのは、子どもたちがピカピカドングリと呼んでいる「シリブカガシ」のドングリ。ドングリの表面は蠟状の物質が付着していて、磨くと美しい漆器のような光沢がでます。そして「テイカカズラ」の鞘状の種。この鞘状の中の種は、タンポポの綿毛の種を10倍にもした大きさで風に乗って飛んでいきます。

　次に見つけたのは「ムサシアブミ」の真っ赤な実、直径5㎝程の楕円形で30c程の高さの茎の先に、赤い粒状の実がびっしりと付いています。この実はかなり毒性が強いので山で見つけても触らないようにします。そして「フユイチゴ」、このイチゴは名前のとおり、冬に実が赤く熟するのでこの名がついています。このイチゴは群生しているのですが、あまり実が付いていなかったのでトオヤマタイチョウだけが口に放り込んで、子どもたちからは「ずる～い!!」の大合唱。

　高良山から吉見岳の道中で子どもたちが見つけたり、拾って私に持ってきたものは「ハナミョウガ」の赤い実。「サネカズラ」の実(キイチゴを大きくしたような真赤な粒々の丸い集合果がぶら下がって実ります)。「ムクロジ」の実（飴色の半透明の袋状の実の中には、昔は羽子板の羽根の玉につかった堅い黒い種が入っています）。鳥が中身を食べてしまった「アケビ」の皮。

　吉見岳山頂から少し下った広場で昼食。お母さん手作りのお弁当をおいしそうに頬張っています。そして広場の周りで子どもたちが見つけたのは｢ツワブキ｣の鮮やかな黄色い花。｢ヨウシュヤマゴボウ｣の実。この実は紫色で形が山ブドウやブルーベリーに似ていますが、アルカロイドやサポニンなどの毒成分があるので誤って食べると大変です。

また紫の実をつぶして衣服などに付着すると洗っても中々落ちません。昔はこれを染料にも使っていたそうです。そして昔の子どもたちがヒッツキムシと呼んでいた「イノコヅチ」。これでヤジロベエを作って遊びました。「カラスウリ」の赤い実は、その蔓を結んでブローチになりました。　帰りの道中には黄葉した「イヌビワ」の木がトンネルを作るよう並んでいて、木を揺すると黄色い葉っぱのシャワーです。そして一本の大きな「カラタチ」の木の下には熟して落ちた、いい香りのかわいい黄色い実。

　一つの実に数十粒入っているカラスウリの種は、よく見るとカマキリの頭のような形をしているので、その種は子どもたちの「お知らせ広場」でテイカカズラの種と一緒に展示中。高良山～吉見岳の道中で子どもたちに伝えたものや、子どもたちが見つけた植物だけでも、記述していないものを含めて20種以上に及びました。自然の中には子どもたちの興味を喚起し、子どもたちの「知りたい」という欲求を満たしてくれるもので溢れているのです。