せいし 幼稚園
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『原因』
せいし通信 10月号

 二学期に入ってこの時期、運動会などの行事が控えていることもあり、子どもたちの運動量は質量共に増加し、一学期に比べると、格段に体力がついていることがわかります。運動会の中での競技や表現、ゲームなどの活動の中には、友だちと協力しなければ成立しない活動や、ルールを守ることなどが要求されます。また、この時期は、子どもたちの友だち関係も広がりを見せ始め、一学期には聞かれなかった友だちの名前も聞かれるようになります。もちろん、子どもたちの友だち関係を広げるための活動の組み合わせを、教師は考慮しているのですが ‥‥。保育行事の一つである運動会を取り上げても、その中には運動能力の向上や、協力することにより成就する喜びや達成感、ルールを守ることや友だち関係の広がりなど、さまざまな育って欲しい子どもたちの姿が、総合的に達成されるようにプログラムされています。

 自己中心の世界をもつのは幼児期の特質なのですが、それでもこの時期には同時に社会性も育てなければなりません。子どもたちの関係が広がると、それだけ子どもたちの社会も拡大します。いままでに経験していない考え方や行動をする友だちもその中に入ってきます。その出会いの中で、子どもたちは驚き、困惑して助けを求めてきます。あの子がこうした、こう言った。もちろん自己主張すること、出来ることは大切なことです。

 しかし、少し気になることがあります。自分のことは置いておいて、原因をすべて相手や他に求める場面が増えているような気がすることです。現代は少子化が進んで、兄弟姉妹が少なく、また異年齢を含む集団遊びの機会が減少し、大事に育てられて精神的に脆弱な部分があるにしても、それだけではないようなのです。

 大人の私たちが、心の教育は大切であるといいながらも、自分自身の心を見つめなおす、省みることがあまりにも少ないような気がします。こんなことになったのは、あの人が、世の中が悪いからだと原因を他に求めることで、一時的な心のバランスは取れるかもしれませんが、それでよいのでしょうか。それはきっとまた同じことを繰り返します。怒りの矛先を常に他に向けていなければならなくなります。その結果、ひょっとしたら自分にとって有意な、大切な人を失い、自分自身の心を見失うことにならないのでしょうか。そしてそれが子どもたちの心に投影されていないといえるのでしょうか?。

 せいしの生活の中では、原因が子どもたちに求められることは決してありません。教師は、指導計画中の指導法や環境作りが、子どもたちの興味や意欲を引き出すものであったのか、目標が達成されたのかを評価し、検証して、考え悩みます。しかし、考え悩むことによって次のステップを模索し、それによって教師として、また人間として成長することができるのです。この営みが停止されたときには、教師という名は返上されなければなりません。そうしなければ十年一日のごとき教育が行なわれ、それに合わない子どもは合わない原因を子どもたちに求められて、できないと切り捨てられる可能性があるからです。

 原因を内に求めるときっと良い結果が現れます。それによって他から評価されることはないかも知れません。しかし、それは自分自身を高めていく最良の方法だと思えるのです。


 園長   遠山 和良
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