せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『見る・聞く・想像する
せいし通信 夏休み号

 夏の主役、クマゼミが鳴き始めると夏も本番。このところ連日真夏日が続き、夜になっても気温が25℃を下回らない熱帯夜の連続。暑さにまだ体がなれていないせいもあって、早や夏バテの気配です。

幼稚園は20日から夏休み、毎日規則正しい生活を送っていただきたいと思います。今年の夏も猛暑といわれていますが、暑いからといって子どもたちを戸外に出さず、テレビやゲームにお守りをさせることがないようにしたいものです。テレビでは、音声と画像が動きを伴って進行しますので、極端にいえば何を考えなくても(想像力を働かせなくても)、子どもたちの頭や心に浸透していきます。それはテレビというものの大きな効用でしょう。その反面、何の想像力を働かせなくても次々に場面が飛び込んでくることが、果たして子どもたちの心の成長発達によいことなのでしょうか。

この「夏休み号」で絵本の紹介をしていますが、テレビとは異なり、子どもたちが絵本を読んだり、絵本や童話を読んでもらうことは、テレビでは得られないすばらしい効果があります。絵本では、場面のカットとしての絵はありますが、マンガなどとは異なり、連続した場面の羅列ではありません。絵本の中の「お話」を進行していくのは子どもたち自身です。子どもたちは想像力を働かせながら、連続する場面を頭の中に描いていかなければなりません。童話などの読み聞かせなどは、さらに想像力を働かせないと「お話」がひとつの物語として構成力をもたないことになります。

子どもたちは、なぜ絵本を手に取り、また読んでもらうことを好むのでしょうか。それは読んだり、読んでもらうことで『心が動く』からです。子どもたちは絵本の中の主人公と一緒に冒険に出かけたり、共感したり、思いを共有しながら絵本の世界で遊んでいます。そのような心の動きが積み重なって心が育っていくのです。そして、その心の動きの積み重ねが、子どもたちを自立した行動や表現活動へと駆り立てていくのです。

今年の2月の幼稚園の作品展。年長組の作品のひとつの「物語の絵」。これは自分で読んだ絵本や教師から読んでもらった絵本をもとに、自分のお気に入りの場面を絵に表わしたものです。読んだ絵本の場面を頭の中で想像して、それを画用紙に写し取ろうというのですから、とても高度な表現活動であることが理解できます。これは子どもたちの心の動きが想像力を育み、表現活動へとつながっていく一つの例でもあります。

この想像を働かせる力は、小学校でも、大人になっても、とても大切な力であることはお分かりだと思います。幼稚園の実際の保育現場でも、単に子どもたちに見せて理解させるよりも、子どもたちの想像力に働きかけて理解させるほうが効果的なことがいくつもあります。

夏休みは、親子で絵本や読書に親しむよい機会です。幼稚園の図書室も解放しています。9月には40日分の心が育った子どもたちとの再会を楽しみにしています。

 園長   遠山 和良
 
 
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