えんちょうのへや |
『光る泥だんご』 |
せいし通信 11月号 |
いま子どもたちの間でブームの泥だんご作り。ブームといってもいつも泥だんごは作られてはいるのですが、この頃少し子どもたちの力の入りようが違うのです。 実はこの泥だんごの発祥は、14年前にさかのぼり、私が新聞に『ピカピカの泥だんご』という記事を見つけて、それを見よう見まねで作ったことに始まります。その泥だんごは、作る途中で壊れたり、磨いている途中で割ってしまったりしながら、20個ほども試作を重ねた結果、ようやく完全な『光る泥だんご』らしきものが2個完成しました。その泥だんごは、いまでも事務室の棚に保管されていて、その輝きは当時のままです。 子どもたちが目指しているのは、その『光る泥だんご』で、毎日のように子どもたちが製作途中の泥だんごを抱えてやってきて、「これでいいのか」「とおやまたいちょうの光る泥だんごみせて」とうるさいのです。作っている途中で割れてしまって泣き出す子や、思うようにいかずに途中で放り出してしまう子もいるのですが、それでも他の子がやっているのを見ると、また地面にうずくまって飽くことなく延々と続いています。しかし子どもたちの作る泥だんごは、確かに日々進化していて、この頃は二日間かけて作られた、まさに光る泥だんごらしきものが出現し始めています。 この光る泥だんごの作り方は、泥水の中から土を取り出して水を絞り、おおよその球体にします。それに乾いた土を振りかけて形をなぞりながらより完全な球体を目指します。そしてその球体に含まれる粘土質を表面に露出させて、泥だんごが乾燥していく過程で磨きをかけてやる。泥だんごを作り、表面に粘土質を露出させて磨きにはいるまでに2〜3時間ほど、磨きには泥だんごを休ませながら2日間で5〜6時間ほどかかりますが、簡単にいえばこれだけです。泥だんごが光るのは、泥だんごが乾燥していくときに粘土粒子が球体の表面に硬い皮膜を作るため。水たまりが乾いたあとに、粘土質の土が乾いた表面を覆っているのと同じ原理です。 このだんご作りには、化学実験的な要素と根気や集中力が必要な要素として含まれ、また要求されます。素材は土だけでほとんど無の状態から物をつくり上げる。その過程の面白さと、完成したときの達成感と満足感を味わうことができます。つまり物造りの原点が、この泥だんご作りの過程の中に多分に含まれています。この一連の物作りの過程を経験すること、それは特にリアリティ体験の機会が少ない現代の子どもたちには必要であり、この泥だんご作りで、それが実体験として子どもたちに蓄積されていくのです。 泥だんご作りは、バケツと水さえあれば、近くの公園でも親子で楽しめます。特にお父さんと子どもにとっては楽しい時間になるでしょう。子どもたちと同じ活動をすることで、親子で共感しあいながらの物作りの過程を楽しんでください。 そうそう、この泥だんご作りのレシピがあります。興味のある方は幼稚園ホームページの「園長の部屋」をのぞいてください。またプリントもありますので、どうぞお問い合わせください。差し上げます(もちろん無料で!!) |
園長 遠山 和良 |
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