新型コロナウィルス感染症は世界中に蔓延し、９月までの感染者数は延べ3000万人を超え、死者も90万人を超えています。人や物やお金が動かなければ経済は停滞してしまうので、国はGO-TOキャンペーンを実施して、９月中旬の連休では多くの人が娯楽や旅行に出かけ、行楽地などでは多くの人手が見られました。これで感染者が増えれば逆効果になってしまいますので、何とか少しずつでも収まってほしいものです。

　先日テレビで、０歳児の発達の問題が取り上げられていました。それは保育所で過ごしている０歳児の問題です。保育所の保育士は、感染症予防のためにマスクをして保育にあたっていますが、マスクのために顔の殆んどが隠されてしまいます。赤ちゃんは生後８カ月前後で、大人の口元を見て真似たり、少しずつ相手の様子や表情から気持ちを読み取れるようになります。一日の大半（保育所の保育時間は基本的に11時間）を過ごす保育所での生活です。マスクをした保育者では表情や口の動きが読み取れません。その結果、従来に比べて言葉の獲得が遅れたり、表情の変化が乏しい現象が現れてきているという内容でした。その後、その保育所では、マスクの代わりに透明なフェイスガードに変えたところ、子どもたちの様子に少しずつ変化と改善が見られるようになったといいます。

　マスクは現在、必要不可欠な存在になっていますが、この０歳児の問題でも明らかなように、言葉の獲得がまだ十分ではない幼児期においても、表情豊かに語りかける教師の存在は重要です。園長の判断にもよりますが、室内では無理でも、外遊びである程度距離が保たれる遊びによっては、教師はマスク取って保育にあたっても良いのではないかと思います。そういえばマスクといえば、特に新園児のお父さん、お母さんのマスクの下の顔は私も教師も、お父さんお母さん同士もほとんど知らないわけで、マスクが取れる日が楽しみ(？)ですね !!

　９月上旬に年長組と園バスに乗って浦山公園に出かけました。公園では大型遊具で遊んだり、トンボやバッタを追いかけたり、お昼はみんなでお弁当を食べて、お昼からはハコベの茎を使った相撲やドングリ探し。探した中で一番大きなクヌギのドングリをゲットしてトオヤマ隊長の面目躍如。最後に長いローラー滑り台を全員で滑って、最後に私が滑り終わると、一人の子が寄ってきて、「トーヤマ先生、すごく楽しそうに滑ってたねって〇〇ちゃんが言ってたよ」。ハイ、 君たちと同じレベルですみませんね !!

　帰りのバスで、運転していた私の横の席に座っていた男の子が「今日は最高の一日だった」とひと言。言葉は大人びていますが、その最高の中身は、友だちと一緒にバスで公園に行った。幼稚園にはない大型遊具で遊んだ。広い草原にはバッタやコオロギがいて、赤トンボがたくさん飛んでいた。みんなで食べたお弁当がおいしかった。 秋の風は涼しくて、空は澄んで青く、刷毛で掃いたようなスジ雲がきれいだった。そんな思いが詰まった言葉だったのではないかと思います。

　コロナ禍もあって、家族でも出かける機会が少なかったこともあったのでしょうが、子どもたちにとって「最高の一日」が提供できるような幼稚園でありたいと改めて思ったことでした。