６月は年長組と三潴の水沼記念公園に出かけました。木々に囲まれた広大な芝のグランドに遊具施設が併設された公園です。駐車場でバスを降りて公園を入ったところに日本庭園風の庭があり広い池があります。その池の周りではシオカラトンボや赤トンボが飛び交い、ツチガエルの姿も見られます。その池にはアメンボもたくさん浮いていました。さすがに年長組で、殆どの子どもたちがその名前を知っていました。

　アメンボは、カメムシ目アメンボ科の昆虫で、アメンボの名前の由来は捕まえると、その細い棒のような体から、甘く焦げたカラメルのような匂いを出すところから飴棒 ⇒ アメンボとなったようです。そのアメンボ、世界に500種、日本には20種類ほどが生息しており寿命は1～6ヶ月程度です。泳ぎが得意な昆虫は多いのですが、水の上に立つことができるのはアメンボぐらいなものです。しかし、そのアメンボもずっと水の上にいるという訳ではなく、定期的に石の上などに登って休むのだそうです。水の上に浮いているためには、アメンボも体力(？)を使うのでしょうか。

　アメンボのエサは水面に落ちたアリやハエなど。足の先の特殊な毛で水面の振動を感知すると素早く獲物に近づいて捕獲し、針のようにとがった口を突き刺して獲物の体液を吸います。アメンボは昆虫なだけに羽も備わっていて、水が少なくなったり、エサが捕れなくなると、新しい水場を求めてジャンプするように、一度に最大10mほどを飛んで移動することができます。

　ところでアメンボはなぜ水面に浮いていることができるのでしょうか。池の周りに集まった子どもたちに聞いてみると｢体が軽いから｣「沈まないように動くから」｢一生懸命泳いでいるから｣などと答えが返ってきました。確かにアメンボの体は軽く、その一匹の重さは0.05ｇ程しかありませんが、アメンボが水面に浮くことができるのは、足先の毛だけを水面につけて、毛が水を弾く表面張力を利用しているから。また足の先端部からは油を分泌してより浮きやすくなっています。

　表面張力とは、物質が表面をできるだけ小さくしようとする性質のことです。同じ体積では球形の表面積が最も小さくなるので、表面張力によって水滴やシャボン玉は丸くなります。アメンボの20倍ほど重い1個1ｇの1円玉も、水面にそっと置くと浮かせることができます。アルミニウムの比重は2.7、水の2.7倍の重さがあるのに、表面張力によって浮かせることができるのです。（実は浮力も多少かかわっています）しかし、台所洗剤などの界面活性剤を混入させると表面張力が失われて一円玉は沈みます。昔に比べるとアメンボがあまり見かけられなくなったのは、生活排水などによって水質が変化し、表面張力を利用して生活しているアメンボが生息しにくい環境になってしまったことも関係しているようです。

　子どもたちにはまだ表面張力を理解することは難しいので、アメンボの足の先には毛がたくさん生えていて、それで水を弾いて浮いていることだけを伝えました。こうしたことが子どもたちの記憶に残り、やがて科学的な興味や理解につながればよいと思います。

　アメンボのいる水たまりで、指先で軽く水面をたたくと、アメンボはエサが落ちてきたと思って集まってきます。公園などに出かけてアメンボのいる池などでやってみると｢アメンボ集めの名人 !!｣と、子どもたちから尊敬されるかもしれません!?