えんちょうのへや |
『みんな違ってみんないい』 |
せいし通信 春休み号 |
『わたしと小鳥とすずと』 わたしが両手をひろげても わたしがからだをゆすっても お空はちっともとべないが きれいな音はでないけど とべる小鳥はわたしのように あの鳴るすずはわたしのように 地面をはやくはしれない たくさんなうたは知らないよ すずと小鳥とそれからわたし みんな違ってみんないい 童謡詩人 金子 みすゞ(1903-1930) 童謡詩人、金子みすゞは今から110年前(明治36年)、山口県長門市仙崎で生を受けました。本名は金子テル、そして20才の頃から「金子みすゞ」のペンネームで雑誌に投稿するようになりました。「みすゞ」の名前は「信濃の国」にかかる枕詞「みすゞかる」からとったといわれています。その後、1923年(大正12年)9月に、みすゞの詩が「童話」「金の星」などの4誌に一斉に掲載され、西条八十からは、若き童謡詩人の中の巨星と賞賛されました。そして、みすゞはその生涯に512編の詩を残して、わずか26才の若さでこの世を去りました。 みすゞの詩は長い間忘れられていましたが、岩波文庫「日本童謡集」の「大漁」を読んだ詩人の矢崎節夫などの手によって遺稿集が発掘され、1984年に詩集が出版されると、瞬く間に有名になりました。 「わたしと小鳥とすずと」は、小学校の国語の教科書にも採用されるなど、その中でも一番知られている詩だと思います。なぜこの詩が私たちの心に響くのでしょうか。 それは、それぞれの個性や価値観を認め合い、大切にしたいという思いが私たちの中にあるからなのです。 ただし世の中にはそれが認められなかったり、時にはスポイルされる場面も多く見られ、それは教育の現場でも散見されます。学習に関しても教師が示した学習法や解決法以外は、単に間違いとして片付けられてしまう例など、ひょっとしたら現代に、もう一度エジソンやアインシュタインが出現する機会をつぶしてしまっている可能性さえあるのです。 特に幼児期の子どもたちは、生活年齢の差が大きいので(同じ3歳児でも、3歳0ヶ月と3歳11ヶ月の子どもの差を考えてみてください)、ひとくくりで3,4,5歳児として考えたり、達成率で評価するなどということがあってはならないのです。そのため幼稚園での子どもの評価は、その子がどう成長したかを示す「絶対評価」であって、決して集団やクラスの中でどんな位置にいるのかを示す「相対評価」ではないのです。 一年が経過して、子どもたちはそれぞれの個性を発揮して遊びや課題に取り組んで生き生きと生活しています。世の中が、みんな小鳥だったら植物は食べ尽くされそうだし、みんな私だったら、個性のない無為な集団に成り果てるだろうし、みんなすずだったら朝から晩までリンリンとうるさくて仕方がないだろうし、やっぱりみんな違ってみんないいのです。
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園長 遠山 和良 |
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