せいし 幼稚園
 
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子どもたちは いま ・ ・ ・
 
『時の流れ
せいし通信 10月号

 『光陰矢のごとし』という言葉があります。光は日、陰は月の意味から「光陰」は、月日、歳月のことで、月日の経つのが極めて早いこと、時が瞬く間に過ぎ去ることの例えです。閏年(うるうどし)や、時には閏秒があるものの、一日は24時間、一年は365日に定められていて、時間は誰の上にも公平に時の流れとして存在しているようにもみえます。

 しかし、実は時の流れは相対的なもので、誰の上にも同じように流れてはいないのです。私が小学生の頃を考えると、月曜日がきて、火曜日、水曜日と時の流れは遅々として進まず、次の日曜日までには無限の時間があるように感じたものでした。また、その人の能力や過ごし方、果ては精神状態によっても時間は延びたり縮んだり、減ったり増えたりしているのです。

 例えば、同じ仕事をするにしてもAという人は10分でできる仕事を、Bという人は20分かかったとすれば、その仕事に関していえば、Bという人はAという人の倍の速度で時間が流れていたということができます。遊びや勉強に関しても効率よく時間を使える人と、そうでない人の相対的な時間の流れは異なってきます。  また精神状態によっても、時間は延びたり縮んだりする事は誰しも経験します。

楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、苦しい時間は無限に続くように思えます。仕事に追われている時間は足りず、待っている時間は永遠のときのようにも感じます。

 このように、時の流れは相対的なものであり、1日の24時間は、人によって30時間であったり、20時間や16時間であったりするのです。また世代によっても時間の流れは異なってきます。無限の時間があると思っているのは、子どもや若者の特権や幻想であって、それぞれの世代にはそれぞれの時間の流れが存在します。

 よく仕事をリタイアしたら、有り余る時間を利用して好きなことができるから良い、などという言葉を聞きますが、それは若い世代の感覚で、歳をとった人間にとっては決して有り余った時間ではないのではないかと思います。私のことを例にとっていえば、私は音楽をやっていて一冊の楽譜を読んで理解するのに、以前は二、三度読めば理解できたものが、五度も六度も読まなければ理解できなくなり、一時間で片付けられた仕事が、二時間も掛かるようになるなど、以前に比較すると時間が縮んで短くなってきているのです。一見、同じと思える時間の流れを、自分と同じ感覚で他人を計ったり他の世代を計ったり、また要求する事には無理があるとも思えるのです。

 幼児期の子どもの時間の流れはゆっくりとしていて、しかもそれぞれの子どもがそれぞれ自分の時計(時間の流れ)をもっているのですから、その子の時計に合わせて生活させることが基本です。幼稚園の教育は待つ教育といいますが、まさにそれは、その子の時計に合わせて生活させる(教育する)ということなのです。すべての子どもの時計を合わせて生活させる(時間に対する自律)ことも大切ですが、そのためにはいずれ子どもたちが自分自身で時計を合わせられるように生活させることです。大人と同じ理由で子どもたちを急がせてはならないのです。

 理事長   遠山 和良
 
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