えんちょうのへや | |||||||||
『丸・三角・四角』 | |||||||||
せいし通信 6月号 | |||||||||
幼稚園関係の機関紙の記事です。 ある幼稚園で、園庭にたぶん年長組が書いたのであろうメモが落ちているのを園長が見つけました。 そのメモには『まるいもの』というタイトルがあって「すいか・めろん・くるまのタイヤ・CD・たいよう・うめぼし・ぼたん・とけいのもじばん」と書いてあって、子どもが遊びながら、丸いものをこれだけ思いつく事に感心した。 3歳児の頃は丸いものをイメージする力はものすごく限られたものだが、教育環境によって子どものイメージする力が一段と飛躍するものだと再認識した。という記述がありました。 このメモに書かれた丸いものは、集合遊びによる仲間集めで特徴をとらえる活動の成果なのですが、これにちょっとした工夫を加えるだけで子どものイメージはさらに広がります。例えば、丸いという特徴に加えて、二つの特徴だとどうなるかを考えてみます。 一つの例として丸くて赤いもの、などです。 これは発達心理のピアジェのいう発達段階では、一つの引き出しの机から、二つの引き出しの机へと思考が発達している事を示しています。 子どもの思考をこの机に例えると、丸いという要素のイメージと赤いという要素のイメージを掛け合わせることができるようになるということです。 これを乗法的思考といい、図で表わすと次のようになります。
年少組は、一学期の終わりか二学期の始め頃に、丸、そして四角を描こうという活動が入ります。 これは描画の初期の活動ですが、その前段階として線描きという活動も6月に入ります。 点⇒線(一次元的)⇒面(二次元的)⇒立体(三次元的) この段階が描画や子どもたちの製作活動の中には存在します。 つまり「点」が無限大に集まったものが線、「線」が無限大に並んだものが面、「面」を無限大に重ねたものが「立体」という絶対的な定義が存在するからです。 少し話が飛んでしまいましたが、丸や三角や四角は物の形の原点で、その形の組み合わせで全ての物の形を表わす事ができるといっても過言ではありません。 丸や四角を描くには、書き始め始点を決める決断力や終点きちんと合わせる等、目と手の協応性や筋力も要求されます。 もちろんただ単に、子ども達に線や丸を書く事を強制するのではなく、線は降ってくる雨、丸いものには何があるだろうと子ども達に問いかけ、その子ども達の感性に訴えかけながら一緒に活動を進めるのです。 前述の乗法的思考も、こうした一連の保育や子ども達の活動の中で、自然に子ども達の中に蓄積されていくのです。 知育教材などを使って子どもの乗法的思考を伸ばすことはある意味では簡単です。 でも、せいしの子ども達は、やはり自分自身の生活の中で、自分自身の手で獲得していって欲しいと私は思います。
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園長 遠山 和良 | |||||||||
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