せいし 幼稚園
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『KINDER GARTEN』
せいし通信 5月号

五月です。一年中で最も過ごしやすい季節の一つです。五月は子どもたちの外遊びでの運動量も増えて、体力的にも伸びる時期でもあります。

この時期、子どもたちの活動範囲も広がり、同時に友だちとの接触の機会も増えてきます。幼児期の特色として、子どもたちは自分中心の世界をもっています。ですから、とくに言葉の獲得やコミュニケーション能力が不十分な年少組では「あの子がこういった」「この子がこうした」などという一方通行のトラブルが増えることになります。そのため、そこにはそれを交通整理し、少しずつ上手にコミュニケーションが取れるように手助けをする教師が存在しているのです。

こうしたトラブルは、やがておとずれる協調的な集団生活を送るために、通過しなければならない小さな事件なのです。こうしたトラブルの件で、この時期「子どもがいじめられているのではないか」という相談を受けることがありますが、これは大人のいう「いじめ」とは、別な次元の問題ですので子どもたちと幼稚園を信頼してください。

さて、毎月お届けしている「せいし通信」。この通信の表紙には、文字のデザインで「SEISHI KINDER GARTEN」と書かれています。KINDER GARTENとは、ちょっと聞きなれない言葉だとは思いますが、これは『幼稚園』という言葉の生みの親“フリードリッヒ・フレーベル”が、1840年、58歳の時に考案した言葉です。

KINDER GARTEN」とは、ドイツ語で“子どもたちの庭”という意味になります。英語にすると、“kidies garden”とでもなるのでしょうが、この言葉はそのまま英語にも使われています。

フレーベルは、1782年にドイツのチューリンゲンで、五人の兄弟の末子として生まれました。彼の生後、母親はすぐに亡くなり、厳格な牧師である父は、聖職の職務に多忙な上、後妻の母は、フレーベルにとってよき理解者ではありませんでした。とくに弟が生まれてからは冷遇され、寂しさ悲しさの中に幼児期を過ごしたようです。

彼は23歳の時に模範小学校の教師となり、その年にはスイスに教育家ペスタロッチの学園を訪れ、その教育思想に大きな影響を受けました。そして57歳の時に、ブランケンブルグで、村の6歳以下の子どもを40人ほど集めて『遊戯と作業教育所』と名づけて幼児の教育を始めることになり、これが今日の幼稚園の出発点となりました。

彼はいいます『子どもは自ら伸びる芽をもっている。外から大人が子どもの能力を無理に引っ張り上げたり、干渉したりせずに、適当な環境を作り、自然に自発的に成長させるべきであり、教師は土地を耕し、適切な肥料を与える園丁でなければならない』と。

小学校の学習指導要領にあたる、幼稚園教育要領第1章総則の『幼稚園教育の基本』にも「幼稚園教育は環境を通して行うものである」ことが明らかにされています。

 先に名前の出てきた、18世紀〜19世紀前半に生きた、ペスタロッチやフレーベルが、幼児教育の重要性や、あるべき姿をこれほど的確に捉え、現在の教育にも、なお新鮮に受けとめられることに驚きを感じます。そして、幼稚園はいつまでもフレーベルのいう 「KINDER GARTEN」 (子どもたちの庭) でなくてはならないと思います。

 園長   遠山 和良
 
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