今年度も3月12日に第80回卒園式を無事執り行うことができ、58名の子ども達が笑顔でせいし幼稚園を巣立っていきました。卒園の日に全員揃った元気な姿を見られたことは何よりも嬉しいことでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で年長組の子ども達が幼稚園で過ごす最後の週が自主登園となり、卒園式も例年より縮小をせざるを得なくなった事が本当に残念でなりません。

昨年末から世間を騒がせている新型コロナウイルス。そもそもこの「ウイルス」とはどのようなものなのでしょうか。

ウイルスの存在が発見されたのは120年ほど前になります。ウイルスはそれ以前より発見観察されていた細菌よりも微小で、当時使用されていた光学顕微鏡では観察ができず、ウイルスの存在は実験により推定されていました。1930年代になり電子顕微鏡が発明されてようやく可視化されました。

ウイルスは自己増殖ができず他の生物の細胞内に感染して初めて増殖可能となります。そのためウイルスは様々な生物に感染し寄生することで存続しています。国際ウイルス分類委員会による分類では、約3万種のウイルスが見出されています。その内、哺乳類と鳥類に感染するウイルスは約650種ですが、1つの種はさらにいくつものタイプに分けられます。例えば風邪の原因の30〜40％を占めるとされるライノウイルス、これは種類としては1つなのですが、その中には110ものタイプがあるそうです。

このように世の中には数多くのウイルスが存在していますが、ウイルスの多くは風邪などの軽い症状、もしくはほとんど症状を引き起こさないため、感染に気づかずに済んでいます。ごく限られたウイルスが重い病気を引き起こしているのです。

紀元前より伝染力が非常に強く死に至る疫病として恐れられてきたウイルスによる感染症に天然痘がありますが、天然痘ワクチンの接種（種痘）の普及により発生数は減少し1980年にはWHOが世界根絶宣言を行いました。人類がウイルスの根絶に初めて成功した例です。

WHOは続けて麻疹やポリオの根絶計画も発足させました。今、子ども達が予防接種で打っているワクチンはその一つです。人類は感染症を克服できるという期待が生まれましたが、近年、エボラやエイズなどのウイルスによる新たな感染症が出現し、感染症の克服が困難であることが明らかになりました。この先も新たなウイルスや様々な病気との闘いが続いていくのでしょう。

そして今、問題となっている新型コロナウイルス。厚生労働省によると現時点では飛沫感染と接触感染が考えられていますが、目に見えないものですから、いつどこで感染するのかと不安な日々を過ごされていると思います。3月に入り全国の小中学校、高校が次々と休校になり、当園でも最後の2週間を自主登園という形で終えることになりました。修了式も例年同様には行うことができず、進級を控えた子ども達の姿を見ていただく事ができなかったことが残念でなりません。

自主登園中は手洗いうがいの励行や、室内換気、消毒等の衛生対策を徹底して参りました。保護者の皆様にはご不安な中、園までのお子様の送迎や無理な登園を控えて頂くなど最後までご協力を頂き、本当にありがとうございました。

この先この騒動が収束に向かい、安心して生活できる日が一日でも早く戻るよう祈っております。そして新年度に子ども達が安心して元気な姿で登園してくるのを待っています。