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 『子ども子育て支援新制度』 
せいし通信 11月号

 表題の新制度が、平成27年度よりスタートすることになりました。この新制度の国の施策として、若年労働層の減少によって不足する労働力を、母親の社会復帰、つまり子どもを産んだら保育施設に子どもを預けることにより、母親の社会復帰を促進させようというねらいがあります。

 その施策により幼稚園は預かり保育の拡充や認定こども園への移行が促進され、久留米市でいえば29園の幼稚園のうち15園が認定こども園に移行しました。また従来の幼稚園として残った14園の幼稚園も、現行の私学助成を受ける幼稚園と施設型給付を受ける幼稚園とに分かれることになり、制度としては誠に複雑な形で導入されることになりました。新制度の移行に伴い幼稚園サイドにも大変な混乱があり、また制度設計や予算措置が消費税の拡大導入を前提とした予算措置で、きわめて不安定な財政基盤の上でのスタートであり、充分に議論が尽くされての新制度とはいえないのです。

 国は1995年に「エンゼルプラン(子育て支援のための総合計画)」を策定しました。

この施策は、少子化傾向を食い止めるため共働き家庭の育児を支援する施策として導入されました。安心して子どもを預ける施設が増えれば出生率が上昇するだろうと目論んだのですが、反対に出生率は減少の一途をたどりました。その結果、人口に占める若年層の比率は下がり、日本の経済を支える労働力が不足してきたのです。

 そこに今回登場する「子ども子育て支援新制度」です。ここまででお気付きでしょうが、これは子育て支援の新制度というよりも、母親の「就労支援」なのです。ですから働く母親にとっては、都合の良い制度とも思われますが、では在宅で子育てをしたいと願っている家庭にとってはどうなのでしょうか。実はこの制度、来年度の運用以降、見直される余地はあるものの、在宅の子育て家庭にとってメリットは殆んどないのが実情です。

 以前にもこの新制度について記述した事がありますが、認定子ども園の保育機能部分、そして保育所で子どもたちを預かる時間は11時間を基準として、さらに延長保育が推奨されているのです。11時間以上も集団で過ごす事になる子どもたちのストレスの問題、心身に与える影響は全く議論されないままこの制度がスタートしようとしています。

 私は以前から、保育所などの箱物を拡充させるために税金を投入するのであれば、例えば子どもが生まれたら毎月10万円を育児手当として支給する。その手当を使って在宅で育児をするのか、その手当を保育所に支払って社会復帰するのかを、それぞれの家庭の事情で選択できるような制度ができれば、よほど少子化対策になるのではないかと思っています。ちなみに保育所の0歳児には、一人当たり毎月15万円以上の税金が投入されているのです。できない話ではありません。

 在宅で育児をする事が子どもたちの心を安定させ、乳幼児期の心身の発達成長にどれほど良い結果をもたらすのか、在宅での育児は立派な社会的活動であるという視点からの議論は全く無視されています。このことは、これからも訴え続けていかなければならないと思います。 私は30年後の日本が心配なのです。

 園長   遠山 和良
 
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