えんちょうのへや |
『幼稚園が変わる』 |
せいし通信 1月号 |
あけましておめでとうございます。以前の巻頭言で『幼稚園がなくなる』というテーマで書きました。当時の民主党政権から、自民党政権に移行して民主党政権下での『こども園』構想は廃止となり、「幼稚園がなくなる」ことはありませんでした。 今回の自民党政権では、子ども・子育て関連3法案が昨年8月に可決成立し、また今年4月から消費税率3%の引き上げが成立したことで、社会保障・税一体改革に関する、子育て関連部分の予算措置が確定的なものとなりました。そこで平成27年度から実施されるであろう幼稚園の実態について、予測される範囲でお伝えしておきたいと思います。 まず新制度化での幼稚園の進むべき選択肢は、@認可保育所と同等施設を併設して幼保連携型(幼稚園型)認定子ども園へ移行する。(施設給付型) A私立幼稚園のまま施設給付を受ける。(施設給付型) B現行補助制度のまま私立幼稚園を継続する。(私学助成)の三つの選択肢があります。 ここでいう施設型給付とは、従来の私学助成(経常費補助、就園奨励費補助)に変わるもので、新たな補助制度がスタートすることになります。あくまでも予測ですが、従来の私立幼稚園としての制度を持続できる幼稚園は大規模幼稚園や大学附属幼稚園などの一部の幼稚園にとどまり、大多数の幼稚園は、認定子ども園に移行、または現行の幼稚園のまま施設型給付を受ける園への移行が予想されます。 また保育料に関しては、公定価格(教育、保育に要する一人当たりの標準的な経費が採用され、その公定価格から施設型給付を引いた金額が利用者負担(保育料)となり、家庭の収入状況などに応じて市町村が保育料を決定することになるようです。現在の幼稚園の保護者を例にとれば、就園奨励費補助は廃止となり、保育料は、久留米市が家庭の状況により定めた保育料を久留米市に代わって幼稚園が代理受領するということになりそうなのです。 幼稚園は、1872年(明治5年)に公示された学制に、小学校の一種として「幼稚小学」として規定されました。そして、1876年(明治9年)に開園した東京女子師範学校附属幼稚園(現在のお茶の水女子大学附属幼稚園)が始めて幼稚園の名称でスタート。以来140年余り、その間幼稚園は公私立を問わず学校教育法に定められた教育施設として存在してきました。しかし、この新制度のスタートにより、教育施設としての位置づけがどうなるのかは、まだどこにも示されていません。またこの新制度自体が、保育所の待機児童対策を念頭において策定され、制度の実施主体は各市町村に委託されますので、その市町村の実態により策定内容が変化する可能性もあります。 現在久留米市では、家庭の教育、保育に対するニーズ調査が実施され(ランダムに抽出された市内約3000世帯への調査)、それをもとに5年間の需給計画が作られる作業が進行中です。また地方版子ども子育て会議(久留米市では行政担当、保護者の代表、幼稚園・保育所の代表、学識経験者などにより構成)によって新制度の運用についての協議も進行しています。 しかし、その半面危惧されることは、以前にも書きましたがこの新制度の話の中心に子どもの姿が見えないことです。親や社会的なニーズばかりが表面で議論されて、新制度の中での子どもの成長や発達についての議論は皆無といっていいほどなのです。 |
園長 遠山 和良 |
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