えんちょうのへや |
『子どもと言葉』 |
せいし通信 2月号 |
三学期に入って、一年のうちでも子どもたちは安定した幼稚園生活を送っています。 先日、学年別に「小さなコンサート」を催しましたが、とくに年長組の体格が良くなっているのに驚きました。別に冬休みの間に成長したというわけでもないのでしょうが、園庭で他の小さな組と一緒に遊んでいるときは、さほど目立って大きくなったとは感じられなかったものが、年長組だけが集まると他の小さい組との差は歴然。極端にいうと大人と子どもほどの差があるのです。子どもたちが日々成長していることが実感されます。 もちろん、その成長は身体的なものだけではなく、知的、情緒的なすべての面においての成長なのですが、とくにこの時期、子どもたちの語彙が増えて会話の幅が広がっていることが特徴的です。子どもたちが操る言葉の数は、一般的に3歳で900語、4才で1700語、5歳で2000語、6歳で2400語程度といわれています。この言葉の数、語彙には使用語彙と理解語彙があり、前述の語彙数は、使用語彙で自分が使うことのできる言葉の集まりです。また理解語彙とは見聞きして意味が分かる言葉の集まりのことです。使うことはできなくても、理解することができる、この理解語彙は、6歳で5000~6000語ともいわれています。因みに20歳では45000~50000語とも。 この数字だけをみても、6歳になると、3歳に比べて3倍近い語彙数をもっている訳ですから、その語彙の組合せによる表現には格段の差が生じることが理解できます。年長組の会話。「昨日どこにいったの?」「家族でお買い物、でもね弟がすぐ疲れた、帰ろうとかいいだして、ゆっくり買い物ができなかったんだよね」まるで大人の会話ですね。 幼稚園にもたくさんある絵本や紙芝居。とくに日本昔話は、生活実態が現代の生活とかけ離れてきて、いわゆる子どもたちの理解語彙の範疇にないものがたくさん出てくるので、説明するのにも一苦労です。 「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に出かけました。」このフレーズで始まる「ももたろう」。この他にも「昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが〜」でスタートする日本昔話に「昔は、おじいさんとおばあさんがたくさんいたんだね」という漫才の掛け合いのような子どもの感想は別として、柴刈りの柴とは野山に生えている雑木の枝などのことで、それを昔は薪などに使っていたこと、昔は洗濯機はなかったので川で洗濯をしていたことなどを説明しても、実生活の中にはないものばかりでなかなか理解しがたいのです。昭和30年代までは、このような生活が実態として存在していたのですが、日本昔話も遠い過去のものとなりつつあるようです。言葉は自分の思いや意志を相手に伝えるための表現の手段。大切に育てたいと思います。 さて、2月8日は子どもたちの「作品展」。自分を表現することは、言葉はもちろんのこと、音楽、そして美術的な活動も、子どもたちの表現活動として、とても重要な文化的活動なのです。作品群をとおして発信される、子どもたちの思いやメッセージをしっかり受け止めて頂きたいと思います。 |
園長 遠山 和良 |
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