コロナウィルス感染症により、3ケ月に渡り外出などの規制が続いています。子どもたちを始め、皆さんは毎日をどのように過ごされているのでしょうか。私は本を読む時間は増えたのですが、寄る年波(老眼ですね)のせいで目が疲れて長続きせず、様々なジャンルの本の拾い読みで終わっています。その拾い読みの本の中に久留米に関するものがあり、そういえば実際に住んでいる久留米について詳しくは知らないことに気が付きました。そこで私たちの居住している久留米について少し調べてみましたのでお付き合いください。

　久留米地域の北部は平安時代末期以来、山本郡草野(現在の久留米市草野町)を本拠とした草野氏が、豊臣秀吉による九州平定で、時の領主、草野鎮永が滅ぼされるまで、約400年に渡り統治していました。その後、江戸時代になって丹波国福知山藩8万石の領主であった有馬豊氏(ありまとようじ)が13万石の加増を受けて、久留米藩21万石の領主として徳川幕府の終焉まで代々久留米を治めることになります。

　その有馬豊氏は、廃城と化していた久留米城の修復を手掛けて、本丸、二の丸、三の丸、外廓(そとくるわ)を造営し、また寺院を現在も残る寺町(17ヵ寺が現存)に集め、また菩提寺の「梅林寺」を建立しました。久留米城の別称「篠山城」は、丹波篠山城の築城にかかわった豊氏がその名を懐かしんだところから篠山城と呼ばれるようになったようです。

篠山城は現在の久留米市役所の北側に外堀が築かれ、その向こうに高級武士の屋敷があり、三の丸、二の丸、本丸と城内に通じていました。外堀から南が町方で、現在の市役所周辺だけでも、両替町、呉服町、米屋町、紺屋町、魚屋町、鍛冶屋町、細工町など、城下を偲ばせる町名が並んでいましたが、1973年(昭和48年)に、久留米市中心部の地番整理が行われ、その町名の殆どが現在の城南町と中央町に統合されて、少し残念なような気もします。

篠山城は、明治7年に廃城令により解体されました。その本丸跡には明治10年に現在の篠山神社が建立され、また有馬家の歴史資料を所蔵した有馬記念館が併設されています。そして篠山城解体の時に移築された西の丸の「水の手御門」が、草野町の寿本寺山門(久留米市有形文化財)として現存しています。また有馬家の菩提寺であった「梅林寺」は、有馬家霊屋などが2018年に国指定重要文化財として登録されています。篠山城跡、有馬記念館、梅林寺、そして草野町、寿本寺の山門「水の手御門」など江戸初期の史跡に触れることができますので、コロナ禍が終息したら改めて訪ねてみたいものです。

また、有馬豊氏の久留米藩移封まで久留米城は、柳川藩主田中吉政の柳川城の支城でした。本城である柳川と久留米を結ぶ道路は「柳川往還」と呼ばれていました。久留米の始点は、幼稚園近くの通町道路沿いにあり、江戸時代「札ノ辻」と呼ばれ、高札が掲げられていたそうです。現在は、三本松公園近くの久留米図書館西分館(旧一七銀行)跡の道路に柳川往還の痕跡が残されています。これも幼稚園の帰りにでも散歩がてら立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

この江戸初期以降、久留米では様々な出来事、事件、また多彩な人材が輩出されていますが、また機会があれば紹介したいと思います。