７月から８月の上旬にかけては、連日35℃を超す猛暑日が続き、夕立の一つでもあればいいのにと思っていたところ、８月中旬には、まるで梅雨末期のような激しい雨の降る日が続き、なんと8月10日からの一週間で、８月の月間降水量の３倍超もの雨が降りました。ここ久留米でも、いたるところで道路が冠水し、また家屋の浸水被害が報告されていました。またコロナウィルス感染症は拡大して、終息の見通しは立たず外出もままなりません。夏休みの間は、子どもたちも家庭で過ごす時間が長かったのではないかと思いますが、恒例の夏休み期間中の「絵本の貸し出し」はこのコロナ禍もあって、利用者は少ないものでした。

　先日新聞に、国立青少年教育振興機構による、小学生から高校生までの読書量の調査結果が掲載されていました。調査は2019年に20〜60歳代の男女5000人を対象に、読書量について、�@小中高を通して少ない。�A成長とともに減少。�B成長とともに増加。�C小中高を通して多い。の4グループに分類。そのうえで「客観的、論理的に考える力(批判的思考力）」｢何事にも進んで取り組む姿勢や意欲(主体的行動力)｣「自分を理解し肯定する力(自己理解力）」を測る質問を出して、各Ｇ(グループ)の平均点(20点満点)を調べました。

　その結果、読書量が多い�CＧは、�@の読書量の少ないＧに比較して、批判的思考力が2.42点、主体的行動力が2.22点、自己理解力は2.04点高いという調査結果が出ました。また�CＧは、�A、�BＧに比較しても、すべての項目で1.0〜1.5点高い数値が報告されています。

　また調査で、子ども時代に読書量の多かった人が小学校高学年の時に、読書に関してどのような経験を多くしていたのかを尋ねたところ「本を持ち歩いて読んだ」「地域の図書館で本を借りた」「ジャンルを問わず読んだ」などの回答が多く、その他にも「図書委員などの活動をした」「同じ本を繰り返し読んだ」といった経験も読書量の多さに関係していたそうです。

　また今回の調査では、紙の本で読書する人は、パソコンやスマートフォンなどで読む人より、主体的行動力や批判的思考力、自己理解力が高い傾向にあるという結果も報告されています。しかし、文部科学省によると、公立校の学校図書館の一人当たり年間貸出冊数は、小学校の49冊から、中学校の9冊、高校の3冊と進学するにつれて激減しています。これは進学などの受験のための学習量が増えることが原因の一つとして考えられますが、子ども時代の読書量が大人になってからの各種能力の高さにつながることが明らかであれば、もう少しゆとりをもって読書のための時間を作ることも必要ではないでしょうか。

　子どもたちの読書の原点は幼児期にあります。大好きなお父さんやお母さん、そして幼稚園で教師に絵本を読んでもらったこと、少しずつ文字を拾い読みしながら、自分の好きな絵本を繰り返し読んだこと。この経験が原点にあって、それがやがて子どもたちの小学校以降の読書習慣につながっていくのです。

　読書は子どもたちの心を動かし、創造力や好奇心を育てます。そしてそれが大人になってからの批判的思考力や主体的行動力や自己理解力につながっていくのです。