たいちょうのへや |
『理事長の雑感』 |
せいし通信 5月号 |
このせいし通信、今年の春休み号まで「園長の巻頭言」として29年に渡り、あらぬことを書き綴ってきました。今年の3月で園長職を退任いたしましたが、急にこのコーナーを止めてしまうのも、頭と体に悪い(?)ような気がして、タイトルを変えてもう少しお付き合いいただくことになりました。 タイトルの「モノローグ」とは独白、つまり演劇でいえば「ひとり芝居」のことです。 この私のひとり芝居が、皆様にはどのように感じられるのか気になるところではありますが、気に入らなければ読まなければいいことで(と、もうここまですでに読まれていますね)、どうぞスルーしてください。 36年前、せいし幼稚園に奉職した頃、幼児教育とは縁もない一般企業にいた私にとって、幼稚園の子どもたちは不思議な存在でした。当時、私自身の子どもたちも幼稚園の年齢に達しておらず、全くの未知の生物との共同生活が始まったようなものでした。取り敢えず私ができたのは、長年合唱音楽を続けていたので、一日中ピアノを叩いて子どもたちと歌ったり、一緒に転げまわって遊ぶことからでした。 子どもたちと同じレベルで遊び呆けていた訳ですから、子どもたちにとっては、どうも先生ではなく同じ園児のような存在として写っていたようで、年長組の男の子からは「オイ、トーヤマ(って呼び捨て?)」。女の子からも「トーヤマあそぼう!!」 これは、その後園長になった時にも変わりませんでした。ただ山歩きが好きで、虫や植物にも興味があったこと(これも子どもたちと同じですね)。子どもたちの「この虫はなに?」「この花は、この木の実はなに?」などの問いかけには必ず答えるようにしていたこと。また、その頃、春と秋の山歩きや一泊のキャンプを始めて、子どもたちの先頭に立ってやってきたことで、何と私の地位は園長を一気に飛び越えて、子どもたちから「とおやまたいちょう」と呼ばれるようになりました。私にとって、とても心地のよいこの呼び名、そしてこの地位を守っていきたいとは思うものの、それは勿論私の資格の問題で、この先どうなりますことやら ‥‥。 いま保育所の待機児童の問題がクローズアップされています。「保育所落ちた、日本死ね」とは何と乱暴な、品のない言い方だとは思いますが、国が施策として母親の就労支援を推進しようとしているのですから、責任をもって対策に乗り出すべきなのでしょう。 しかし施策としての就労支援にばかり目がいって、実際に保育所で過ごす(保育所の預かりは11時間が基準)子どもたちのことがこれっぽっちも議論されていないことが気にかかるのです。本来は、家庭で母親とゆったりと過ごす時間、そしてゆっくりと心と体が成長する時間が保証されていないことです。この部分を保育所の生活の中でどうクリアーしていくのか、この点はこれからの大きな課題といえます。 それにしても、自宅で子どもを育てたいと願う家庭に対する支援は、10年も前からまったく変更もなく、ないがしろにされていて、これもまたおかしな話です。全国の幼稚園団体が幼児教育の無償化を求めて署名運動(その節はお世話になりました)の上、それを国に提出しましたが、どうもまだまだ時間がかかりそうです。 このように、子どもたちを取り巻く環境はよい時代であるとは決していえません。 せいし幼稚園は、いままでも、そしてこれからも「善くなろう」とする子どもたちの守護者であり、「こどもの城」であり続けたいと願うばかりです。 |
理事長 遠山 和良 |
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