えんちょうのへや |
『光の子らしく 歩きなさい』 |
せいし通信 春休み号 |
~心よりの感謝をこめて〜 エフェソの信徒への手紙5章8節に「あなたがたは、以前には暗闇でしたが、いまは主に結ばれて光となっています。光の子として歩みなさい」とあります。この言葉は、先代の園長柳瀬美津子(1981年召天)の愛した1節で、園庭に置かれた先代の記念碑にも刻まれています。まさに子どもたちには、先代の愛した「光の子」として歩み、成長して欲しいと思います。 私事になりますが、私がこのせいし幼稚園に奉職したのが1980年、翌年には先代の園長が召天し、1985年には園長を拝命して31年が経ちました。1987年からは、幼稚園通信に、この巻頭言の連載を始めて、これも29年が経ちました。実は16年前の、せいし幼稚園創立60周年の時に、この巻頭言を纏めて60周年記念誌として印刷製本して、保護者や幼稚園関係者にお配りしたことがありました。その記念誌のあとがきの中で私はこう書いています。 ‥‥中略‥‥ こうして、公園や山やキャンプでの隊長が、いつの間にか一部の子どもたちに定着して幼稚園でも「とおやまたいちょう」と呼ばれるようになりました。ところがよく考えてみると、幼稚園に在園しているのは3〜6歳の子どもたちとその保護者。これは何年、何十年経とうが変わることはありません。変わっていくのは、年をとって老いさらばえていくであろう私だけなのです。この私が最も好きな心地よい響きの「とおやまたいちょう」の呼称を、子どもたちはいつまで使ってくれるのでしょうか。勿論、それは私自身の資格の問題ではあります。 ‥‥後略‥‥ 18世紀のフランスの思想家、哲学者、また教育者であったジャン・ジャック・ルソーは、その教育論「エミール」の中で、善い教師について「子どもの教師は若くなければならない。賢明な人であればできるだけ若い方が良い」と記しています。 それは若い教師、あるいは若い気持ちと体を持ち合わせている聡明な教師であるならば、子どもと行動を共にしながら、また子どもたちの気持ちに寄り添いながら信頼関係を築くことができる、というように言い換えて良いのかも知れません。 この数年、コソコソと筋力トレーニングを続けてはいるものの、特に還暦を過ぎてからは体力の衰えは隠しようもなく、子どもたちと公園や山で走り回る体力が残されていないことを実感しています。またデスクワークにおいても、その処理能力の低下は明白です。まさに、ルソーのいう「若さ」と「聡明」の二つのキーワードが失われつつあるのです。 60周年の記念誌で記した「私自身の資格の問題」に、やはり私自身が従う時期がきたように思います。 今年度末をもって、私は園長職を辞することにいたしました。後任には遠山純史があたります。今後は少し離れたところから、「光の子らしく歩む」子どもたちの成長を見守り、またその手助けをしていきたいと思います。 永年にわたりせいし幼稚園を、また力のない私をご支援頂きましたこと、心より有難く感謝申し上げます。 |
園長 遠山 和良 |
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