せいし 幼稚園
 
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『水たまり
せいし通信 7月号

 今年の梅雨は陽性のようで、雨の日が続くと思うと、晴れた日も現れます。元来九州の梅雨はこの陽性型で、関東などのようにシトシトと長雨が降り続くことは少ないようです。九州人の気質と関係があるのかどうかは不明ですが ‥‥。

 今年の、子どもたちの戸外遊びとプール遊びは、お天気の巡り合わせもあって比較的順調にいきました。

 毎年、梅雨の頃になると思い出されるのは、もう30年程も前のことですが、長崎を襲った集中豪雨で90名もの人たちが亡くなった惨事のことです。一説には人災である、ということもいわれました。都市部では道路などの舗装が進んで、地面がほとんどアスファルトやコンクリートで覆われています。そのため、雨水は地面に吸収されることがなく、その90パーセント以上が流れてしまい、他にも様々な要因が重なったこともありますが、結果としてあのような大惨事が引き起こされたともいわれました。東京などの大都会の小学校に至っては、運動場まで舗装されているところもあります。窒息寸前の地面の悲鳴が聞こえてくるような気さえします。

 雨が降った後の水たまりも、舗装されたところでは陽がでると、あっという間に消えてしまい、後には蒸し暑さだけしか残りません。地面の窪みに溜まった水たまりが、梅雨の晴れ間の空を映して輝いている光景が見られることは、本当に少なくなりました。   

そして、その水たまりは子どもたちの素敵な友だちでした。長靴を履いて、傘を振りまわしながら、水たまりから水たまりへ渡り歩いている子どもたちを見るのは、雨上がりの普段の光景だったと思うのですが ‥‥。

でも、せいしの子どもたちは、この水たまりがどんなに素敵な存在なのかはよく知っていいます。子どもたちはみんな泥んこ遊びが大好きです。年少組ではバケツに水を汲むのは教師の役目ですが、年長組になると泥んこ遊びに教師は眼中にありません。水たまりを作り、山を作り、川を作り、一大パノラマを作り上げます。

年少組の六月の歌は『ながぐつ』(湯山昭/作曲 香山美子/作詩)。 道路の舗装化が進んで、雨の日でも大人はあまり長靴を履いて出かけるということは少なくなりました。(女性向けには、長靴はレインブーツと名前を変えて生きながらえているようですが)           

しかし子どもたちには、長靴は身近な存在のようで、六月の『小さなコンサート』で、この「ながぐつ」の歌を聴いたあとに「どんな色の長靴をもってる?」、この問いに子どもたちが答えたとおりの、赤や黄色、白、青、緑、ピンクなどの多くの色の種類の長靴たちが、雨の日の子どもたちの靴箱に並んでいます。昔のように道路の水溜りを、長靴をはいた子どもたちが渡り歩いている風景は見られなくなりましたが、いまでもやっぱり雨の日の長靴をはいている子どもたちは、どことなく心が踊っているようにも見えるのです。  

 暑い夏もすぐそこまでやってきました。裸で泥んこ遊びに熱中している子どもたちの背中や腕も、夏の太陽に少し焼かれて、段々と健康な色に染まり始めたようです。
 園長   遠山 和良
 
 
 
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