たいちょうのへや |
『新聞大学』 |
せいし通信 2月号 |
先日、所要があって久しぶりに電車に乗って福岡に出掛けました。(久しぶりなのは福岡ではなく、電車の方です)昼間だったこともあり、車内はさほど混んではいなくて、殆んど全員がシートに腰掛けている状況でした。しかし驚いたことに、車内はシーンとして話し声ひとつしないのです。そして、すべての人といってよいほど、スマートフォンを操作しながら、それに見入っていたのです。私の目には、それはなんだか異様な光景に映りました。私にとって、電車などの乗り物の中は、おしゃべりに満ちた賑やかな空間という認識があったので、まるで異次元の空間に放り出されたような気がしたのです。私の携帯電話は、いわゆるガラケー(ガラパゴス諸島の動物のように、日本独自に発達した携帯?) といわれる電話機能のみのもので、仕方がないので鞄の中から出発前に購入した週刊誌を読み始めました。そういえば、昔は車内で新聞を広げていたり、雑誌や単行本を広げて読んでいた人が多かったことを思い出しました。 新聞や雑誌などの印刷物の発行部数は年々減少しています。新聞を例にとると発行部数のピークは1997年の5377万部から2016年には4328万部へと激減しています。人口は減っているものの、世帯数は増えているのですから、宅配制度をとっている新聞が如何に購読されていないのかを物語っています。一世帯あたりの購読数は、2007年までは1部以上を保っていたものが、2016年には0.78部まで減少しています。 私の朝は、新聞に目を通すことから始まります。勿論朝の出勤前の時間ですから、隅々まで目を通すわけでもなく、関心のある記事以外は斜め読みで飛ばしているわけですが、ある日、新刊の紹介で「新聞大学」の記事が目に留まりました。著者は、御茶ノ水女子大学名誉教授の外山滋比古さん、御年93歳。200万部突破のベストセラー「思考の整理学」など柔軟でユニークな提案をされてきた方です。 「新聞は毎日宅配されて、政治、経済、科学など世の中の動きをつぶさに知ることができる総合大学のようなもの、一般教養を身につけるのに最適な教科書である」と外山先生は語ります。はじめは見出しだけを目を通して、分からなくても面白くなくても、全ての記事の内容を推測し、慣れてきたら本文に取り掛かるようにする。外山先生の目指したことは、新聞を使って頭を働かせ自らを高めること。火災の記事を読んでは住宅の構造や建材に思いを巡らせ、広告にページでは本文記事との文章の違いを検討するなど。また株を買った積りで株式欄をチェックする「模擬投資」などなど ‥‥。こうしてみると、読み方ひとつで新聞はまさに知識の宝庫、「新聞大学」から学べることは無限にあるような気がします。 スマートフォンを操つることにより、いま必要な情報が瞬時に手に入るという便利さはあるのですが、デジタルな情報そのものだけであり(勿論使い方にもよりますが)周辺の情報が手に入ることはありません。それに対して新聞などの印刷物の情報は、アナログではあるものの、外山先生が提唱するように、自身の頭を働かせ、周辺の情報や知識をも身につけることができるようになるのです。 新聞の購読料は、朝・夕刊セットで月額4000円程度。こんなに安い大学の授業料はありません。改めて「新聞大学」に入学し直してみようかなと思います。 皆さんもいかがですか? |
理事長 遠山 和良 |
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