せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『自律する子ども
せいし通信 5月号

 平成24年度がスタートして一ヶ月。進級、そして新入園した子どもたちも、それぞれ自分たちのペースで幼稚園生活を楽しんでいるようです。先生たちは、春休みのタイトな日程の中で新年度の準備や、昨年度の子どもたちの活動の評価記録や反省をもとに、新たな年間の指導計画を組んで新年度を迎えました。

 せいし幼稚園では、基本的に毎月第4土曜日を研修日として、その月の子どもたちの活動の評価や反省の記録に基づいて協議して、次月の活動計画を確認する作業を一年間通して続けています。4月は、その一年間の指導計画会議に3日間をかけて協議しました。幼稚園では、年少組から年長組にかけて、それぞれの発達段階に応じて、基本的な生活習慣の確立に始まり、達成されるべき目標群があります。 年長組には、大きな目標の一つとして「自律する子ども」が掲げられています。

“自律”とは、カントの倫理思想において根本となる観念であり、実践理性が理性以外の外的権威や自然的欲望に拘束されず、自ら普遍的道徳法を立てて、これに従うことをいいます。要約すれば「外部からの制御から脱して、自分で立てた規範に従って行動すること」となります。つまり、年長組の子どもたちには、自分の判断で、必要な時に、必要な行動がとれる子どもに育ってほしいという目標があるのです。

 自分で判断するためには、いままで自分で蓄積してきた知識や経験をもとに考えを組み立てる必要があります。その知識や経験とは家庭や幼稚園生活の中で子どもたちが身に付けたもの、ということになります。ですから幼稚園では、子どもたちの生活年齢や発達段階に応じた活動を一年間の指導計画の中に組み入れているのです。

 知識や経験といっても、知能教育に示されるような文字や数字などを使った単元的な効果が求められるもの、いわゆる教育効果が目に見えるものというわけではありません。数学上では、1+1=2という答えしか出てきませんが、例えば同じ大きさの石ころとドングリでは、2つを足しても石ころ2個とどんぐり2個では重さが全く異なります。水の中に入れると石は沈みますが、ドングリは浮いてしまうかもしれません。大人は勿論、これは比重が異なるからだと理解できますが、子どもにはその概念はありませんので、不思議だなという思いが残ります。この“不思議だなという心の動きが、子どもたちの次の思考や行動に結びついていくのです。

 幼児期には、このような体験をたくさん繰り返し、試行錯誤を繰り返しながら、子どもたちが自分自身を育てていく(知識や経験や技能の習得)環境が必要です。教育課程や年間指導計画に示される活動、そして人的物的な環境を整えることが、幼児教育を担う幼稚園の重要な役割なのです。

 そうして育った子どもたちこそが私たちが目指す、自分の判断で、必要な時に、必要な行動がとれる「自律する子ども」なのです。

 園長   遠山 和良
 
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