せいし 幼稚園
 
 たいちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
星の色は何故違う?』
せいし通信 7月号

 いまから6年前、2010613日に7年、60kmの宇宙の旅を終えて、地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のことは、まだ記憶に新しいのではないかと思います。帰還といっても探査機本体は、地球の大気圏再突入の際に燃え尽きてしまいカプセルだけがオーストラリアで回収されました。

 「はやぶさ」は、宇宙科学研究所が200359日に打ち上げた小惑星探査機で、3億km離れた小惑星「イトカワ」を目指しました。はやぶさが「イトカワ」を目指したのは、46億年前の地球生成の謎に迫るため。「イトカワ」の名称は、日本のロケット開発の父とも呼ばれる糸川英夫博士にちなんで名づけられたそうです。

 先日、この小惑星探査機「はやぶさ」のチームに加わっていたJAXA名誉教授の的川泰宣氏の講演を聴く機会がありました。「はやぶさ」の6億kmの宇宙の旅は、想定外の出来事や事故が相次ぎ波乱に満ちたものでした。20059月に小惑星「イトカワ」に到着したものの姿勢制御用のリアクションホイールが故障、これを燃料を使ったガスジェットで何とか姿勢制御の機能を回復させ、11月には2回にわたって「イトカワ」に着地。弾丸を撃ち込んで、イトカワの組成物を回収するというミッションは果たせなかったものの、着地時に舞い上がった粉塵は回収できたかもしれないという期待を胸に、地球への帰還の途につくことになりました。しかし、燃料漏れが発生して、全ての燃料がなくなるというトラブルが発生。これをイオンエンジンを使うことによって姿勢制御して何とかイトカワを脱出します。帰途も二度にわたる通信の途絶やイオンエンジンの故障で宇宙の迷子になるなどのトラブルを何とか克服して地球に帰還したのです。的川氏の話は宇宙の神秘やスリルとサスペンス、人間の英知やチームワークのあり方など、まるで映画の世界のようでした。実際「はやぶさ」は映画にもなり、ご覧になった方もあるのではないかと思います。

 この的川氏の話の中で、宇宙のお話のほかにとても心に残ったことがありました。それは彼が少年時代の思い出として語ったことで、釣り好きだった的川少年は海を見て「なぜ海の色は青いのだろう」、夜空を見上げては「何故星にはいろんな色があるのだろう」と不思議に思っていたそうです。分からないことが周りにいっぱいある。その少年の好奇心が、やがて赤い星の色や青い星の色は、自ら光りを放つ恒星の表面温度によるものだという理解につながり、138億年前のビッグバンにより誕生した宇宙の奥に分け入りたいという冒険心が、彼を宇宙工学の道に進ませたというのです。少年の頃の夢や好奇心や冒険心を実現させた的川氏は74歳という年齢を感じさせない、そして今も少年の心を持ち続けているとても素敵な方でした。

 海の水が青いのは、太陽光の構成は、波長の長い順に、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫。

その中で青の波長以外は水に吸収されるので、海の水は青く見えるのです。同じように空が青いのは、波長の短い青い光が空気中の塵とぶつかって拡散した結果青い空に。夕焼けが赤いのは、夕方は太陽光が空気層をとおる距離が長くなるために、波長の長い赤い光が遠くまで伝わることによります。

 子どもの頃の、何故?や不思議だな?と思う心の動きが好奇心や冒険心を喚起し、成長するに従ってそれを理解、解決し、さらに研究を深めていく。そんな子どもたちの夢をサポートできたらどんなに幸せなことでしょう。

 2014年に、種子島宇宙センターから打ち上げられた「はやぶさ2」。地球近傍小惑星「リュウグウ」への着陸とサンプルリターンが計画されているそうです。今回はどんな宇宙のドラマを見せてくれるのでしょうか。

 理事長   遠山 和良
 
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