せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『汗をかく
せいし通信 6月号

 5月も中旬を過ぎると、最高気温が25度を超える、いわゆる夏日が現れる日が出てきました。こんな日には、園庭で遊んでいる子どもたちは水をかぶったように汗でビッショリが昔の子どもたちだったのですが、いまの子どもたちは以前の子どもたちほど汗をかかなくなっているように思えます。

 汗腺、いわゆる汗をかく小汗腺(エクリン腺)は、全身に200万個から500万個あるといわれています。汗腺の数の差は遺伝子によるものではありません。人は生まれた時には、同じような数の汗腺をもっていますが、その汗腺はまだ機能していません。生後3年ほどの間に、これらの汗腺の一部が機能するようになるのだそうです。3歳までに気温の高い環境で生活していると、機能する汗腺の数が多くなります。そして生後3年ほどで、この汗腺発達プログラムは固定されて、その後高い気温の環境があっても機能する汗腺の数に影響を与えません。3歳までに機能するようにプログラムされた汗腺、つまり汗を出すことができる汗腺(能動汗腺)が、その人の一生の汗腺となります。

 人間の体温を調節してくれる汗は、暑くなると汗腺から出てきて気化する時に熱を奪って体温を下げる役割をします。日本人の能動汗腺は平均で約230万個といわれていますが、この汗腺の数が現代の子どもたちには、なんと親世代の半分しかないというのです。その原因の一つはエアコンにあるといわれています。夏になり暑くなってくると、赤ちゃんのためにとエアコンで涼しい環境が用意されると機能する汗腺が増えないのです。汗腺が少ないと代謝が鈍ってしまうことによるバテやすさと、体温を下げることが難しくなるので、いわゆる熱中症の危険性が高まります。ですから、赤ちゃんのためには、暑ければ水分をたくさんあげて汗腺の発達を促すことが、お金では買えない赤ちゃんの生涯の財産になるのです。

 暑いときや体に熱がこもりやすい時に最も効率的に熱を逃がしてくれるのが汗です。水1gが蒸発する時には580カロリーの気化熱を周囲から奪います。人は一日に平均で700mlから900mlの汗をかくといいます。これほど効率的な体温調節機能をもっているのは人と一部の類人猿に限られているのです。 せいしの子どもたちは、比較的よく汗をかく子が多いようにも思いますが、汗をかきにくいなと思ったときには、外遊びの時には霧吹きとうちわをもっていって、熱中症になる前に、顔のまわりを中心に霧吹きで水を吹きかけてうちわで仰ぐ。この人工的な汗で体温の調節をすればよいのだそうです。

 このように体温調節のために出る汗を「温熱性発汗」と呼びますが、驚いたり興奮した時に手のひらや足の裏にかく汗を「精神性発汗」と呼びます。これは体温の上昇がなくてもかく汗ということになりますが、この汗は一度にどっと出てまもなく治まる点が持続的に出る温熱性発汗とは異なります。「手に汗を握る」汗だったり、「冷や汗をかく」汗ということになるのでしょう。その他にも、労働や努力の象徴となる「汗水をたらす」や「血と汗の結晶」、「額に汗する」などなど、汗に関する慣用句も様々です。

 今年の夏、汗とは上手に付き合いたいものですね。 そういえば私の子どもの頃にお風呂上りに、多分汗を抑えるためにはたかれていた天花粉(てんかふん)、後にはシッカロールと名前を変えたベビーパウダーはいまでも健在なのでしょうか?

 園長   遠山 和良
 
せいし通信 バックナンバー 
 平成23年度 2011年
 5月号  6月号  7月号  夏休み号  9月号  10月号  11月号  12月号
 
 冬休み号  1月号  作品展特集号  2月号  3月号  春休み号 
 
 平成24年度 2012年
  5月号  
戻る

学校法人 聖使学園
〒830-0023 福岡県久留米市中央町30-5
TEL:0942-32-4971 FAX:0942-32-7678