せいし 幼稚園
 
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子どもたちは いま ・ ・ ・
 
『大人と子ども
せいし通信 冬休み号

 大人は何でも知っているが、子どもは何も知らない。 大人は理解力があるが、子どもには備わっていない。 大人は辛抱づよく我慢することが出来るが、子どもにはできない。 大人には体力や持久力があるが、子どもはすぐ疲れて甘いものを欲しがったり、ところ構わずに寝てしまう。 だから大人は子どもを保護し、養育し、教育してやらなければならない。

 そのとおり、本当にそのとおりなのですが、子どもの頃には誰にも備わっていながら、実は大人になっていくと同時に少しずつ失っていくものがあるのです。実際にはそれがなくても日常の生活に困るものでもないので、多くの大人たちは失ったものに気づかないでいるのです。

 それは夕焼けを見て、その美しさや雄大さに泣きたくなるほど感動したり、路傍の名もない小さな花を愛おしいと思ったり、寒くなってくると、幼稚園のいちょうの木の葉が少しずつ黄色くなっていくのを発見したりする。心を揺さぶられたり、いろいろなものに気づいたりする世界。その世界が大人になるに連れて少しずつ失われていくのです。

 この世界は『感性』という言葉で表されますが、幼児期や学童期にはいちばん大切にされなければならない世界です。この感性のうえに『知性』も花を開き実を結ぶことができるのですから。もちろん、大人になってもこのような感受性や構成能力を失わず、それをさらに発展させていくことのできる人たちもいます。それは科学者や芸術家などに多く見ることができます。

 どうせ子どもの言っていること、やっていること、つまらないこと、と片付けてしまわずに、子どもと真摯に向き合って対話をしてくれる大人がたくさんいればいるほど、子どもたちは健やかに成長することができるのです。

1897年、ニューヨークのサン新聞の記者が、8歳の女の子の質問に答えた記事を今年もお読みください。

 

『サンタクロース』

 子どもたちが楽しみにしているクリスマス。このクリスマス(Christmas)の語源は、ラテン語の Cristus Missa(クリストゥス・ミサ)の略で、Christ(キリスト)mas(礼拝)の意味です。またXmasという略称もありますが、このXはギリシャ語で「Xristos(油を注がれたもの)」で、「救世主」つまりキリストを意味します。

さて、そのクリスマス。イエスの生誕は、紀元前4〜7年頃とされていますが、諸説があり定かではありません。西洋の紀元は、キリストの生誕を西暦1年としてスタートしています。この西暦の始まりは、525年にローマの神学者ディオニシウス・エクシヴスによって算出されましたが、後年になってキリストの生誕が実は数年遡ることが判り、このずれが生じたそうです。紀元をA.D、紀元前をB.Cと表記しますが、A.Dはラテン語で Anno Domini(主の年)、つまりイエスが生まれてからの年月を表わし、B.Cは Before Christ、キリスト生誕以前の年月の意味です。なぜラテン語と英語なのかちょっと不思議ですね。

その当時は、ローマ帝国がヨーロッパを中心に強大な勢力を誇っていました。イエスは、そのローマ帝国の反逆者として、ユダヤ属州の総督ピラトの時にゴルゴダの丘で十字架につけられて処刑されましたが、3日後に甦り再び弟子たちの前に姿を現わしたとされています。

クリスマスといえばサンタクロース。「サンタクロースってほんとにいるの?」1897年、ニューヨークのサン新聞の記者が8歳の女の子の質問に答えた心温まる記事を今年もお読みください。




バージニアの手紙

 

 記者様

 

 私は八つです。 私の友達に「サンタクロースなんていない」って言っている子がいます。

パパに聞いてみたら、

「サン新聞に問い合わせてごらん。 新聞社でサンタクロースがいるというなら、そりゃもう、確かにいるのだろうよ。」

といいました。

ですからお願いです。 教えてください。

サンタクロースって、ほんとにいるのでしょうか?

 

バージニア・オハンロン 




サン新聞 掲載文

 

 バージニア お答えします

 

 サンタクロースなんていないのだ。というあなたのお友達は間違っています。

きっと、その子の心には、今流行の何でも疑ってかかる疑り屋根性というものが染み込んでいるのでしょう。 疑り屋には目に見えるものしか信じられません。 疑り屋は心のせまい人たちです。 心がせまい為によく分からないことが沢山あるのです。 それなのに、自分の分からないことは、皆、嘘だと決めつけるのです。

 

 でもバージニア、サンタクロースがいるというのは決して嘘ではありません。 この世の中に、愛や人の思いやりや真心があるのと同じように、サンタクロースも確かにいるのです。

 あなたにもわかっているでしょう・・・・

世界に満ち溢れている愛や真心こそ、あなたの生活を美しく、楽しくしているものなのだ、ということを。 もしもサンタクロースがいなかったら、この世はどんなに暗く寂しいことでしょう!

 

 あなたのような可愛らしい子どものいない世界が考えられないのと同じように、サンタクロースのいない世界なんて想像もできません。 サンタクロースがいなければ、人生の苦しみをやわらげてくれる、子どもらしい信頼も、詩も、歌も、ロマンスもなくなってしまうでしょうし、私たち人間の味わう喜びは、ただ目に見えるもの、手で触れるもの、感じるものだけになってしまうでしょう。 また、子どもの時代に世界に満ち溢れている光も消えてしまうでしょう。

 

 サンタクロースがいないですって!?

じゃあ、試しにクリスマス・イヴにパパに頼んで探偵を雇って、ニューヨーク中の煙突を見張ってもらったらどうでしょうか? ひょっとするとサンタクロースを捕まえることができるかもしれませんよ。

 しかし、たとえ煙突から降りてくるサンタクロースの姿が見えないとしても、それが何の証拠になるのです? サンタクロースを見た人はいません。 けれども、それはサンタクロースがいないという証明にはならないのです。 この世で一番確かな事、それは、子どもの目にも大人の目にも見えないものなのですから。

 

 この世の中にある見えないもの、見ることができないものが、何から何まで人の頭の中で作り出し想像したものだ、などということは決してないのです。 目に見えない世界を覆い隠している幕は、どんな力の強い人にも、いいえ、世界中の力持ちがよってたかっても引き裂くことはできません。 ただ信頼と想像力と、詩と歌と、愛とロマンスだけが、そのカーテンを一時引きのけて、幕の向こうの例えようもなく美しく、輝かしいものを見せてくれるのです。

 

 そのように美しく輝かしいもの。 それは人間の作った出鱈目でしょうか!?

いいえ、バージニア。 それ程確かな、それ程変わらないものは、この世に他にないのですよ。

 

サンタクロースがいない。ですって! とんでもない!?

嬉しいことにサンタクロースはちゃんといます。

それどころか、いつまでも死なないでしょう。 一千年後も百万年後までも、サンタクロースは、子どもの心を今と変わらず喜ばせることでしょう。

 園長   遠山 和良
 
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