せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『夢・希望・愛』
せいし通信 冬休み号

 言葉は美しい。言葉は力強い、そして言葉はある時は人を癒し、ある時は人を勇気づけ、またある時は人を恐れさせ、奈落の底へ突き落とす。表現としての言葉、自分の意思をメッセージとして相手に伝え理解させる。そして、それは文字と言う表現の手段へと発展して、多くの人々へと伝播していく。その先には文学の世界が広がり夢や希望や愛を私たちのもとへと届けてくれる。幼児期という最も感受性があふれる時期には、多くの美しい言葉に接し、その言葉のもつ表現の重要性を、子どもたちが理解できるような環境が用意されなければなりません。

 この冬休みに紹介している絵本もその一つです。子ども達は絵本を読んだり、呼んでもらったりすることでワクワクしたり、はらはらしたり、ドキドキしたり、言葉で言い表せないほどの心の動きを体験します。子どもは絵本の主人公や登場する人物や動物に同化して、ハラハラ、ドキドキ、ワクワクを共有し共感しているのです。そんな子どもたちの心の動きが心を育てることになるのです。 そして絵本は、子どもたちの言葉を引き出し、自分で読みたいという欲求を芽生えさせ、文字へ満ちた世界へと子どもたちを誘います。

 今年もまた100年以上も前のニューヨーク・サン新聞の記者が、8歳の女の子の質問に答えたお話を読んでください。 この美しい力強い言葉に、どれほどこの女の子は勇気づけられ、子どもの夢を大切に育ててくれる大人の存在をうれしく思ったことでしょうか。




バージニアの手紙

 

 記者様

 

 私は八つです。 私の友達に「サンタクロースなんていない」って言っている子がいます。

パパに聞いてみたら、

「サン新聞に問い合わせてごらん。 新聞社でサンタクロースがいるというなら、そりゃもう、確かにいるのだろうよ。」

といいました。

ですからお願いです。 教えてください。

サンタクロースって、ほんとにいるのでしょうか?

 

バージニア・オハンロン 




サン新聞 掲載文

 

 バージニア お答えします

 

 サンタクロースなんていないのだ。というあなたのお友達は間違っています。

きっと、その子の心には、今流行の何でも疑ってかかる疑り屋根性というものが染み込んでいるのでしょう。 疑り屋には目に見えるものしか信じられません。 疑り屋は心のせまい人たちです。 心がせまい為によく分からないことが沢山あるのです。 それなのに、自分の分からないことは、皆、嘘だと決めつけるのです。

 

 でもバージニア、サンタクロースがいるというのは決して嘘ではありません。 この世の中に、愛や人の思いやりや真心があるのと同じように、サンタクロースも確かにいるのです。

 あなたにもわかっているでしょう・・・・

世界に満ち溢れている愛や真心こそ、あなたの生活を美しく、楽しくしているものなのだ、ということを。 もしもサンタクロースがいなかったら、この世はどんなに暗く寂しいことでしょう!

 

 あなたのような可愛らしい子どものいない世界が考えられないのと同じように、サンタクロースのいない世界なんて想像もできません。 サンタクロースがいなければ、人生の苦しみをやわらげてくれる、子どもらしい信頼も、詩も、歌も、ロマンスもなくなってしまうでしょうし、私たち人間の味わう喜びは、ただ目に見えるもの、手で触れるもの、感じるものだけになってしまうでしょう。 また、子どもの時代に世界に満ち溢れている光も消えてしまうでしょう。

 

 サンタクロースがいないですって!?

じゃあ、試しにクリスマス・イヴにパパに頼んで探偵を雇って、ニューヨーク中の煙突を見張ってもらったらどうでしょうか? ひょっとするとサンタクロースを捕まえることができるかもしれませんよ。

 しかし、たとえ煙突から降りてくるサンタクロースの姿が見えないとしても、それが何の証拠になるのです? サンタクロースを見た人はいません。 けれども、それはサンタクロースがいないという証明にはならないのです。 この世で一番確かな事、それは、子どもの目にも大人の目にも見えないものなのですから。

 

 この世の中にある見えないもの、見ることができないものが、何から何まで人の頭の中で作り出し想像したものだ、などということは決してないのです。 目に見えない世界を覆い隠している幕は、どんな力の強い人にも、いいえ、世界中の力持ちがよってたかっても引き裂くことはできません。 ただ信頼と想像力と、詩と歌と、愛とロマンスだけが、そのカーテンを一時引きのけて、幕の向こうの例えようもなく美しく、輝かしいものを見せてくれるのです。

 

 そのように美しく輝かしいもの。 それは人間の作った出鱈目でしょうか!?

いいえ、バージニア。 それ程確かな、それ程変わらないものは、この世に他にないのですよ。

 

サンタクロースがいない。ですって! とんでもない!?

嬉しいことにサンタクロースはちゃんといます。

それどころか、いつまでも死なないでしょう。 一千年後も百万年後までも、サンタクロースは、子どもの心を今と変わらず喜ばせることでしょう。

 園長   遠山 和良
 
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