11月は、年中組は５日に年長組は９日に、高良山系に山歩きに出かけました。登山道入り口から高良大社を経由して吉見岳まで約１時間強の行程ですが、年中組も、年長組も全員最後まで歩きとおすことができました。

　以前にも、このコーナーで記述していましたが、この恒例の秋の登山はもう30年以上続いているのですが、温暖化の影響でしょうか紅葉は年々遅くなり、子どもたちと紅葉に染まりながら歩くことが無くなったのは残念です。おまけに登山道の整備が進んで、登山道周辺の木々は伐採され、草は刈り払われて、子どもたちが楽しみにしている色づいた葉っぱやドングリなどの木の実の採集がほとんどできないのです。登山者からの整備の要望もあるのでしょうが、もう少し自然の状態を残しておいて欲しいものです。

　それでも少し暗い林の中では、葉を落とした「マムシグサ」が赤い実をびっしりとつけています。このマムシグサは名前のとおり、初夏にはマムシが鎌首をもたげたような花を包む仏炎苞(ぶつえんほう)を広げ、湿って薄暗い林の中で、このマムシグサに出会うと少しドッキリ。（真っ赤な実は美味しそうにみえますが、毒性が強いのでうっかり食べると大変です）

　高良山から吉見岳への道中は、狭い山道に降り積もった落ち葉に足を滑らせて、しりもちをつきながらたどります。その道中ではヤブミョウガの赤い実やツワブキの黄色い花が目を楽しませてくれます。木に巻きついていたカズラを子どもたちと引っ張ったら

５ｍ程のものが取れたので、これは幼稚園に持ち帰って、丸く編んでクリスマスリースの飾りを作ることにしました。

　最後の坂を登りきると、そこは吉見岳。ここにはかつて1500年代の半ばに大友宗麟が築いたといわれる山城がありました。1587年の豊臣秀吉による九州征伐では、秀吉自身が、この城に本陣を構えたと伝えられています。この吉見岳の原っぱで、子どもたちはお昼のお弁当。秋の高い青空を眺めながら、お母さんの手作りのお弁当は最高だったようです。お昼が終わった子どもたちから、この原っぱで遊び始めます。男の子の中には、10�p以上の大物のショウリョウバッタを捕まえて得意げに見せてくれる子もいます。

この原っぱで見られた植物は、ヒメシバやチカラシバ。イノコヅチやオオバコにエノコログサなど。昔はチカラシバで毛虫、イノコヅチでヤジロベエ、オオバコの茎で引っ張り相撲などをして遊んでいたものでした。原っぱを駆け回った後には、ズボンいっぱいにイノコヅチ(別名、ヒッツキムシとも)が大量にくっついて、それを取るのに一苦労していたものですが、いまは原っぱも整備されて、前述の植物もチラホラとみられる程度になってしまいました。

　ひとしきり遊んだあとは、往きとは別のルートで山を下ります。登りのルートとは異なり、帰りは緩やかな下り坂だけなので、子どもたちもおしゃべりが弾みます。道中にあったイヌビワの木の葉が黄色に染まっていて、木を揺らして葉っぱが地面に落ちる前に捕まえる競争をしたり、黄色に実ったカラタチの丸い実を見つけたり、チャノキ（お茶の木）の白い可憐な花を見たりしながら下山しました。

　子どもたちにとっては、心も体も解放された「秋の一日」だったようです。