せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『秋風
せいし通信 11月号

 先日は福岡動植物園に恒例の秋の遠足でした。穏やかな好天に恵まれて、友だちと一緒に乗った大型観光バス、お母さんと一緒に食べたお弁当、一緒に見たたくさんの動物たち、子どもたちにとって心に残る楽しい一日だったのではないかと思います。

 相変わらず象の前に張り付いて、目を真ん丸にしていつまでも離れない子、思索的な哲学者のような風貌のオランウータンとにらめっこをしているように見つめている子。アザラシの顔を見ながら、だれに似ているんだろうと不思議そうな顔の子。動物園では幼稚園で見ることのできない色んな行動や表情を子どもたちは見せてくれます。物語や絵本、図鑑に登場する動物たちは、実際に目の前にすると、その大きさや動き、臭いなど圧倒的な存在感をもって子どもたちの前に現れて、子どもたちの好奇心や興味を喚起して、観察の対象となります。 そしてその後しばらくは、幼稚園でも動物ごっこや、その存在を再現しようと粘土やクレパスを持ちだす子が見られるようになります。

 少し時間があったので、植物園のほうにも回ってみました。さすがにこちらは子どもたちはあまり興味がないようで、広大な植物園の中で子どもたちに出会うことはありませんでした。大温室の入口のエントランスの壁は、ほぼ一面がツタに覆われ、それが赤く紅葉していて、青空とのコントラストに目を奪われました。11月上旬までは楽しめそうですので、今度はさわやかな秋風の中、家族おそろいでお弁当をもって植物園を目的にお出かけになったらいかがでしょうか。秋の花や季節の移ろいを見せてくれる植物は、それを愛でる審美眼や、植物を大切にしようとする心を育てることにも繋がります。

 ところで、秋風をさわやかだと感じるのは、夏に比べて過ごし易い気温であることはもちろんですが、湿度が低いことがさわやかさを感じる一番の原因でしょう。

 その風が起こるのは、空気を作っている分子が温度差などによって動く現象です。普段は全く意識することはありませんが、空気にも重さがあります。1?つまり1000?で約1s、空気がそんなに重いものだとは想像もつきませんが、何百トンもあるジェット機が空を飛ぶのを支えるのも、風の強い日に傘をさすと歩きにくいのも、空気に重さがあるからなのです。

 私たちは空気がなければ生きていくことができません。大人では1回に約500ccの呼吸をしていますので、1分間に20回呼吸をするとして1日では28,800回程度、およそ14,400?の空気を吸っていることになるのだそうです。それを先ほどの空気の重さに換算すると、約10kgの空気を呼吸して肺に取り入れていることになります。

呼吸として取り入れられた空気中の酸素は、肺の中で炭酸ガスと交換されて排出されます。その炭酸ガスは、樹木などの植物によって吸収され、再び酸素となって空気中に放出されます。樹木は私たちの身体の外にあって、人間の肺と反対の機能をもったもう一つの肺と例えられる所以なのです。

 広大な植物園の樹木の間を散策しながら、植物を大切にしようという理由はこんなところにもあるのだったと再認識したことでした。 せいしのシンボルのいちょうの木もこのところの冷え込みで、葉っぱの先が少し色づいてきました。いちょうの木の下で遊んでいる子ども達の歓声はさわやかな秋風に包まれ、その風が樹幹を吹き抜け青空に吸い込まれていきます。

 園長   遠山 和良
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