せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『どんぐり
せいし通信 11月号

『春は草花 夏は虫 秋は木の実に 冬雪氷』

 どういう意味があるのかお分かりでしょうか? 別に何かの標語というわけではありません。それぞれの季節で、子どもたちが一番気になるものをあげてみたのです。

 萌えいずる春になれば、いっせいに芽吹いた草花や木の芽が気になるし、夏にはクワガタやカブトムシなどの昆虫や虫たちに心を奪われ、秋には色づいた葉っぱやドングリが欲しくて仕方がないし、冬になって雪が降ると暖かい部屋で遊んでいても外に飛び出したくなるし、氷が張って朝日に輝いていると、どうしても幼稚園にもって行きたくなってしまう。 自然が用意してくれるものは、どれも子どもたちの心を揺さぶって、興味や関心を引き起こし、感動を与えてくれるものばかりです。

 今年は幼稚園のドングリは裏作の年のようで、数本あるドングリの木は、あまり実をつけませんでした。ドングリは、ブナ科のクヌギ・カシワ・ナラ・カシ類の種子の総称で、日本には約20種類ほどのドングリがあるそうです。ちなみに幼稚園のドングリはコナラの種子で縦長であまり大きくはありません。子どもたちに人気なのは大きくて丸いクヌギのドングリ、そしてピカピカドングリと呼んでいるシリブカガシのドングリです。

 ところでご存知でしたか?  ドングリには1年で実るものと、実るのに2年かかるものがあります。クヌギやシイの実の仲間は実るのに2年かかります。初夏の頃には1年目のドングリの赤ちゃんと年を越した2年目のドングリが一つの枝に一緒についています。子どもたちと観察してみるのも楽しいと思います。 またドングリは縄文時代には、アワやヒエ等を補う主食の一つでした。アク抜きが大変なのですが、山などにハイキングに行ってたくさん収穫できたら、親子でドングリクッキングに挑戦したりと、これもまた面白いかもしれません。

 幼稚園で拾ったり、公園で拾ってきたドングリたちは、子どもたちの間で交換されたり(交換レートがあって、大きなドングリ1個に対して、小さなドングリ3個だったりします)形や大きさや数や量を比べられたりして、格好の遊び相手になってくれます。大人にとっては、単に地面に転がっている木の実ですが、そのまま木の実として片付けてしまうのか、子どもたちと一緒に興味の対象としてドングリを捉えるのかでは大きな違いがあります。 大切なことは、子どもたちのもつ興味や関心を、親や教師は共感し共有してやるということです。それによって子どもたちは、よりその関心の度合いを深めたり、どうして?なぜ?という疑問をもつようになり、それを解決しようと考えたり行動したりするようになります。それに対して私たち親や教師は、子どもたちの興味や関心に応え、疑問に答える能力や、道筋を示せる能力をもつことを努力しなければなりません。子どもたちは誰に指示されるわけでもなく、このドングリを使った遊びの中で、形や大きさを比較したり、数や量の基礎的な学習をしていました。このように秋は子どもたちの遊び心をくすぐるものがいっぱいです。

 11月は高良山にハイキング。高良山にはピカピカドングリの秘密の場所があって、子どもたちはいまから楽しみにしています。幼稚園の大きないちょう木も葉っぱの先がほんの少しだけ色づき始め、本格的な秋もすぐそこまできているようです。

 園長   遠山 和良
 
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