えんちょうのへや |
『発達障がいー困っている子』 |
せいし通信 12月号 |
私が小学生だった50年以上も前のこと、クラスの中には必ず先生の言うことを聴いていなくて話を理解していない子、注意が散漫でしょっちゅう先生から叱られていた子、目を放すと席を立ってウロウロする子などが存在していたような気がします。その子たちは、当時は先生の言うことがよく聞けない、いわゆる「困った子」という言葉でひとくくりにされていて、この「困った子」たちの中には、発達障害を持った子たちが含まれているなどと議論されることはありませんでした。 いま知的障害を伴わない高機能広汎性発達障害が、学校教育の中で大きな問題としてクローズアップされています。高機能広汎性発達障害の中には、高機能自閉症、アスペルガー障害、その他の広汎性発達障害が含まれます。自閉症とは次の3つの障害を指します。(社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害およびそれに基づく行動の障害)この中のアスペルガー障害とは、自閉症の3つの障害のうち、コミュニケーションの障害が軽いグループのことを指します。 幼児期の自閉症の特徴的な障害として上げられるものは、目が合わない、親から平気で離れてしまう。言葉が出てきてもオウム返しが長く続き、会話が苦手なことが多いという特徴があります。またこだわり行動を見せることも多く、手のひらをかざしたり、横目で物を見つめたり、やがては自動車や電車、文字や数字など特定なものに興味を示すようになります。また幼稚園などの集団生活の中では、教師の指示に応えられなかったり、集団で動くことができず、自分の興味があることだけに没頭する、という行動が見られます。言葉については遅れがなくても、双方向の会話が不得手で、自分の興味があることはよくしゃべりますが、質問には答えられないというパターンもよく見られます。 注意欠陥多動性障害(ADHD−Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、注意力の欠如、他動、衝動性を特徴とする行動の障害で、自閉症がもつ3つの障害は現われません。ただ自閉症の中には多動を伴ったものもあって、間違った診断がされている場合もあるということです。 発達障害は、多くは遺伝的な要素が強いのですが、それを乗り越えることができるのは、まず両親の発達障害に対する理解、教師や友だちの理解、そして適切な教育環境が整えられることです。この発達障害については、この10年ほどで随分と理解や小学校での支援も進んできました。しかし、家庭で過ごしている間は、なかなか発見するのは難しく、幼稚園などで集団生活を送る中でようやく発見することができる事例が多いのです。また幼児期も、子どもの発育、発達には月齢差などによって差があるので、4才頃になって言葉を獲得し、ある程度集団的な社会生活を送れるようになる頃に現れてきます。自閉症児は男の子が多いことが特徴です。実際女の子の3~4倍の数にあたるとされています。また子どもの6%程度に現われるともいわれています。 「障害」というととても重い言葉に聞こえますが、「困っている子」と言い換えてもよいと思います。コミュニケーションがうまく取れない、物事を順序良く考え、組み立てる事などが苦手な「困っている子」は確かに存在します。この「困っている子」をどう理解し、支えて行くのかが、両親そして私たち教師に求められているのです。 |
園長 遠山 和良 |
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