えんちょうのへや |
『大きな銀杏の木の下で』 |
せいし通信 3月号 |
年長組の部屋から園歌(大きないちょうの木の下で)を歌う声が聞こえてきます。早いもので、あと半月で年長組も卒園の日を迎えます。私がこのせいし幼稚園に赴任してから34年が経ちました。その34年前もせいし幼稚園のいちょうの木は確かに大きかったのですが、当時の写真と比べると34年間で、また格段に大きく立派になっているのがわかります。 この園歌(大きないちょうの木の下で)は、それまで、せいし幼稚園には園歌が無かったので、24年前のせいし幼稚園創立50周年の年に制定しました。作詞は私の高校時代の友人で東京在住の詩人、近藤洋太氏。近藤氏は「現代詩」といわれるジャンルを書く詩人で、その10年後の60周年の記念誌の寄せ書きには作詞について、「果たして園児にわかる言葉で書くことができるのか」と頭をひねりながら作詞をしていたことが書かれています。 私は私で、作曲に当たって、子どもの声帯は大人の声帯の半分の7oほど、肺活量は1/3程度しかないので、曲のダイナミックレンジ(音の高低の幅)やフレーズの長さも大きく取ることができないので、やはり近藤氏と同じように頭をひねりながら作曲していたこと、作曲していた当時は習作で2曲作曲し、確か先生たちにも聞いてもらって現在の園歌に落ち着いたことなどが思い出されます。 せいし幼稚園のシンボルでもある大きなイチョウの木。イチョウは中国が原産といわれ、日本名の由来は葉の形があひるの足に似ているので、中国語で鴨脚(イアチアオ:アヒルの足)が転訛したとする説があります。このイチョウの木の種の誕生は2億5000万年前ともいわれ、裸子植物門イチョウ網の中で唯一現存している種なので「生きた化石」と呼ばれています。恐竜たちが闊歩していた時代にすでにイチョウが存在していたとはちょっと信じられませんね。その恐竜たちや多くの植物も、その後地球を襲った4度にわたる氷河期で死滅してしまいましたが、このイチョウだけはその時代を生き延びてきたのです。 またイチョウは雌雄異株で、せいし幼稚園のイチョウは雄株。イチョウの花粉は1qも飛ぶといわれていますので、一つ通りをはさんだ明治通の銀杏を実らせているのは,せいし幼稚園のイチョウの木だという説も‥‥(私の勝手な説ですが)。イチョウの木は、日本には1000年前の平安時代あたりに入ってきたようで、その寿命は2000年以上ともいわれています。 せいし幼稚園のいちょうの木は、たぶん樹齢70〜80年ほどだと思われますので、あと2000年近くは、春に芽吹いて、夏は緑の葉で木陰をつくり、秋には紅葉して子どもたちの遊び相手になってくれることを繰り返していくことになるのでしょうか。 年長組が歌う園歌も、卒園式という行事が聴くことのできる最後の機会となりました。聞こえてくる歌声はさすがに年長組で、音程もリズムも見事なものです。これからもせいし幼稚園のいちょうの木のように光に向かってすくすくと健やかに成長してほしいと思います。 |
園長 遠山 和良 |
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