たいちょうのへや |
『音楽と言葉』 |
せいし通信 6月号 |
5月から『小さなコンサート』が始まりました。この小さなコンサートは、1991年から声楽家の川口先生と、ピアニストの片岡先生を音楽専任講師に迎えて、子どもたち向けのコンサートを毎月定例化してスタートしたものです。歌やピアノの演奏の他に弦楽器や管楽器のソロやアンサンブル、マリンバの演奏などを子どもたちには聴いてもらいました。残念なことに、1999年に49歳という若さで川口先生が亡くなられて、それから後は私が歌を引き継いで小さなコンサートが続いています。 『音楽と言葉』は、一見別のもののように思えますが、音楽のスタートは実は言葉であるといっての過言ではありません。現に17世紀のハインリッヒ・シュッツ(ドイツの作曲家)の時代までの作曲家の主な仕事は、言葉を如何に音楽化するのか、ということだったのです。 幼児期の子どもたちの言葉と音楽を考えると、すでに子どもの遊びの中でそれが始まっています。「かくれんぼ」を例にとれば「モーイイカイ」「マーダダヨ」を、音階でしめすと「do・mi・mi・re」という音階で構成されています。この「モーイイカイ」という日本語の抑揚のアクセント(ピッチアクセント)が音楽化されているのがわかります。この日本語の抑揚が音楽化されたものが「わらべ歌」に代表される日本の歌です。日本の音律は、西洋音楽が二つの半音階を含む全音階(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)であるのに対して、半音階を含まない五音階(レ・ファ・ソ・ラ・ド・レ)でできていて、半音階のもつ緊張感や感傷性がありません。 30年ほど前は、幼稚園で子どもたちの間で普通に聞かれた、お寺の花子さん、あぶくたった、花いちもんめ、などのわらべ歌は全くといってよいほど聞かれなくなりました。通常わらべ歌は、動作や遊びを伴っていて、子どもたち同士の会話や協調性などを育み、そして音楽の入口ともいえます。子どもたちの生活や言葉と密接な関係をもつ「わらべ歌」は、もっと見直されるべきだと思います。(せいしでは、音楽カリキュラムの中にわらべ歌も組み込まれています) 余談ですが、同じ日本でも沖縄地方には琉球音階があり、これもまた五音階なのですが、不思議なことに二つの半音階を含む五音階(ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド)で、西洋音階のレとラが抜けた音階です。この音階をピアノで叩いてみると、それだけで沖縄の青い海が目に浮かぶようです。(そんなバカなと思う方はお試しあれ !!) また日本語の母音はア・イ・ウ・エ・オの五つの母音ですが、沖縄では基本的にア・イ・ウの三つの母音で、「エ」は「イ」に、「オ」は「ウ」に転化します。例をあげると手(テ)は「ティ」、雲(クモ)は「クム」に、心(ココロ)は「ククル」に、親(オヤ)は「ウヤ」というようにです。 民俗学的には日本本土と同じと考えられていますが、1429年から350年間に渡り琉球王国であった沖縄地方、文化の違いは面白いものですね。 さて6月の小さなコンサートは14日(水)です。子どもたちは片岡先生のピアノの演奏に、そして私の6月の歌の演奏にどのような反応を示してくれるのでしょうか。とても楽しみです。 |
理事長 遠山 和良 |
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