せいし 幼稚園
 
 えんちょうのへや
 
 
子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『反抗期
せいし通信 11月号

 朝夕は随分涼しくなり、肌寒さを覚える季節になりました。 10月の運動会では、3歳から5歳の子どもたちの成長の様子をご覧いただきましたが、年少組と年長組では、走り方や演技を見ていると、まるで大人と子供の差とも思えるほどで、改めて幼児期の成長のすばらしさを実感したことでした。

 さて、その子どもたちは3歳になる頃には、自分の手足はある程度自分の意志どおりの動きができるようになります。また語彙も増えて言葉もかなり自由に操ることができるようになります。そして、母親に全面的に依存していたいままでと違う力が、自分自身の中に備わってきたことを感じるようになります。こうなると、もう母親のいうとおりでは満足できなくなり、言葉や指示に従わなくなることが見られるようになります。これがいわゆる「反抗期」といわれるものです。

 反抗という言葉は、否定的な悪い意味にも捉えられがちですが、この反抗は、実は子どもが自分で考えたい、自分でやってみたいという気持ちの表れです。ですから、この時期には子どもの「やる気」や「意欲」を上手に育ててやらなければなりません。

 親の言葉に従わないので、命令口調で無理に従わせたり、子どもの言動や行動を先取りして親が介入しすぎると、子どもの「やる気」や「意欲」を減退させてしまうことにもなりかねません。子どもたちは自分でやることによって、失敗や試行錯誤を繰り返しながら経験的に物事を学んでいくのです。親としては危なっかしくて見ていられなかったり、もどかしくてつい手を出したくなりますが、ここは子どもたちとの我慢くらべだと思ってください。

 子どものやる気や意欲を喚起するためにはほめてやることです。子どもが考えたり、やって見たことで良い結果が出たら必ずほめてやることです。そうでない場合は、何故そうなったかを親子で考えてみることです。そうすることによって、親子の信頼関係はより強固なものになります。

 「ピグマリオン効果」という言葉があります。ギリシャ神話に登場するピグマリオンという男が彫像の女性に恋をしてしまい、その彫像の女性を妻にしたいと願い続けていたら、ついに彫像が人間の女性になったといわれる物語です。それから転じて、周りの人間の期待が与える効果や影響のことを指します。つまり、子どもに対しては、周りの人から期待されていたり、認められているという思いをもたせる、子どもはそれに応えてやる気や意欲がわいて良い結果が生まれるという、いわゆる「ピグマリオン効果」を上手く使うことです。

 一方、子どもの成長に合わせて我慢したり、待ったりする自律的な力を育てようとするとき、また社会的なルールを教えていくためには、叱ることも必要になります。危険な行為、人を傷つけたり迷惑をかけるような言動や行動に対しては、毅然とした態度で叱ることです。ただし「先生に叱られるから」「お父さんに叱られるよ」と人のせいにしたり「お兄ちゃんはいい子なのに」など、他人と比較した叱り方、「そんな子は大嫌い」などと突き放した叱り方、同じ行為を叱ったり叱らなかったり、一貫性のない叱り方は子どもの心をいじけさせたり、混乱させる原因にもなります。

 親は、一生懸命しつけのつもりで叱っても、親子の愛情や信頼関係が育っていないと、子どもには挫折感や劣等感を植えつけてしまいます。 愛情と信頼に支えられた親子関係があるところでは、上手くほめて叱ることが子どもの生きる力となり、子どもたちは充実した「反抗期」を過ごす事ができるのです。

 園長   遠山 和良
 
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