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子どもたちは いま ・ ・ ・
 
『音楽と言葉
せいし通信 12月号

 日本人は縄文時代から農耕民族として生活を続けてきました。それに対して、西欧人やユーラシア大陸に住んでいた民族は主に騎馬民族として、各国間で侵略や併合を繰り返して、現在の国々が形成されています。そして農耕民族である日本人には、歩き、農作業をする二拍子系統のリズムが生活感覚として定着し、騎馬民族である西欧人には、馬の駆足、早足で歩く三拍子系統のリズムが生活感覚として定着しました。

 さて、私たちが一般的に音楽と呼んでいるものは、西洋音楽、つまり古代キリスト教会から発生し、発達した音楽を指すのですが、音楽の始めには言葉がありました。西洋音楽に於いては、音楽の主な課題は言語を如何に音楽化するか、ということが17世紀のハインリッヒ・シュッツの時代まで続きました。生活のリズムと密着している言葉の音楽化が図られるわけですから、言葉のリズムと音楽のリズムには密接な関係があるわけです。

 言語のリズムの面では、欧米語の強弱アクセント(stress accent)に対して、日本語は高低アクセント(pitch accent)の言語であるといわれています。つまり欧米の言語が、強弱のアクセントの言語であることは、二、三、四拍子の音楽の強弱のアクセントと言語の強弱のアクセントが、きわめて自然な形で結合されることになります。ところが農耕民族であった日本人の生活のリズムや言語のリズムには強弱のアクセントや三拍子系のリズムがありません。(実際に田植えの仕事や日本舞踊などの舞には三拍子のリズムは考えられませんね !?)そのため、いわゆる西洋音楽との結びつきが困難な場合がずいぶんと見られます。

明治から大正にかけて活躍した作曲家の山田耕作は、日本語の抑揚(高低のアクセント)を大切にする余り、一番と二番の歌詞の音楽のほうを変えてしまいました。日本人の、この三拍子系統の結びつきがないこと、その結びつきの希薄さから苦手意識も加味されたのか、現在でも日本の童謡180曲ほどの中で、三拍子の曲は僅か15曲程だそうです。

お隣の韓国には、アリランという有名な三拍子の歌があるのに、日本古来の歌の中には三拍子の曲がまったくないというのも面白い話です。

ただ唯一、「五木の子守唄」は実は三拍子の曲(しかもアウフタクト(弱起)の三拍子!!)なのですが、これには諸説があって、豊臣秀吉が朝鮮に侵略した際に、この戦に加わった加藤清正、その熊本城を居城とする清正が捕虜として連れ帰った朝鮮の人たちが、15000人ほど熊本地方に居住するようになり、騎馬民族である朝鮮人のもっていた三拍子のリズムが伝わった、その結果この「五木の子守唄」が誕生したというのです。

さて、今月は子どもたちの発表会があります。現代の子どもたちは、私の世代が苦手な三拍子系統のリズムもまったく意に介さないようです。おまけに「発表会特集号」にも紹介してあるように、子どもたちは「小さな芸術家」ですから、きっと素敵な音楽を私たちに届けてくれることでしょう。

 理事長   遠山 和良
 
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