えんちょうのへや |
『聴くこと』 |
せいし通信 6月号 |
新学期が始まって2ヶ月、子どもたちも、そろそろ自分のお気に入りの遊びや友だちを見つけて活発に遊び始めました。お母さんの知らない友だちの名前や、遊びが聞かれるのもこの頃です 5月14日に、「小さなコンサート」を開きました。毎月、片岡先生と私のコンビで歌とピアノ演奏のコンサートを子どもたちに聴いてもらっています。片岡先生は、桐朋音楽大学を卒業後、西日本新人演奏会や、九州交響楽団との共演、そして現在も大学の講師を務めながら、ソロピアニスト、また合唱などの伴奏ピアニストとして活躍中です。 コンサートは、3階ホールと保育室で学年ごとに開きました。年少組と年中組の新園児はもちろん初めてのコンサートで、目を真ん丸くして聴いています。むしろ聴くというよりは、全身で音楽を受け止めているようです。 この「聴く」という行為は、面白いことに学年によって明らかに差異が認められます。それは年少組は、先にあったように、初めて出会うピアノの音であったり、歌であったりするわけですから、身じろぎもせずに全身で受け止めます。もちろんこれは先生たちが演奏中には静かにしなさい、などといわなくても、子どもたちがそうなってしまうのです。それは直接子どもたちの「心」を揺さぶる「善いもの」であれば当然の作用なのです。 年中・年長組になると、多少様子が異なってきます。それは経験的に片岡先生や私のピアノや歌を音楽として捉え、楽しんだり分析したりすることができるようになっているからです。ピアノの早いパッセージには、自然に身体が動き出したり、隣の子といま鳴っている音楽について話をしたり ‥‥。 またある面では年長組になると、生活経験もずいぶん豊かになりますので、家庭環境などの違いもあって、音楽への興味が多少分散したり、部屋に帰ってやりたい遊びの続きが気になって、集中して聴けないことがあります。しかし、興味が持続しない子どもたちは放置されていると、他の子を巻き込んで、音楽とは別な世界に遊びに行ってしまいます。 ここでは、やはり他の子どもたちに迷惑をかけない「聴くこと」に対しての「自律」が必要になってきます。年長組にもなると、それが生活の中で要求される機会が随所に出てきます。もちろんこれは文字通り「自ら律して他に縛られないこと」であり、子どもたち自らが、その生活の中で徐々に獲得していくものです。 |
園長 遠山 和良 |
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