この5月からスタートした新元号『令和』。この元号は、日本ではじめて制定された元号「大化」から数えて248番目に当たります。

　時は飛鳥時代、聖徳太子亡き後、蘇我入鹿(そがのいるか)まで四代に渡って政権を掌握した蘇我一族。その蘇我一族から、天皇を中心とした政権の樹立を目指した中大兄皇子(なかのおおえのおうじ：後の天智天皇)と中臣鎌足(なかとみのかまたり：後の藤原鎌足)は、曽我氏を討伐した後「大化元年」と初めて元号を定めました。そして、改新の詔が大化２年(西暦646年)に発布されました。これが所謂｢大化の改新｣です。その後、鎌足亡きあと藤原家は、奈良、平安時代に最盛期を迎え、以後1300年に渡って朝廷の重職に就くことになります。

　｢大化｣をスタートとして、改元された元号は冒頭にもあるとおり248の元号。この元号、明治以降は一世一元制となり、64年間続いた｢昭和｣は、この元号の歴史の中でもっとも長い元号となりましたが、明治以前の元号は平均5年ほどで改元されています。それは大地震などの天変地異や大火災、そして疫病などの災いを断ち切るために行われた改元でした。平安時代には、ハレー彗星の出現によって二度改元されています。平安の人々にとっては、彗星の出現は凶兆として捉えられていたのでしょう。また元号は｢応仁の乱｣や｢寛政の改革｣｢明暦の大火｣など、事件とも結びついて歴史に登場しています。　初めて制定された元号｢大化｣から1400年余り。新しい元号である｢令和｣はどのような時代になるのでしょうか。

　1947年〜1949年の第一次ベビーブーム、ピーク時の1949年には270万人の赤ちゃんが誕生しています。そして、その第1次ベビーブームの子どもたちが成人した後の1971年〜1974年の第2次ベビーブーム。ピークの1973年には209万人が誕生しました。やがて次に第3次ベビーブームが来て日本の人口は安定するかに思われたのですが、ライフスタイルの変化や晩婚化、未婚化がすすんで、思うように出生数が伸びませんでした。その結果出生数は減少を続け、2016年には100万人を割り込み98万人弱となりました。

　国は少子化対策としてさまざまな子育て支援の施策をとっていますが、国全体の社会保障費の額で見ると、高齢者向けの76兆円に対し、児童手当や保育所、幼児教育に対する給付額は5.5兆円です。｢子育てと教育は家庭の責任｣という認識が日本には根強く、子育て支援や教育に対する支援額は、対GDP費で西欧諸国に対して異常に低いのが現状です。

　今年10月に予定されている2％の消費税引き上げ。その増収分から7000億円を幼児教育無償化などの子育て支援に充てることになるようですが、いままでの少子化対策は、子育て支援という全体の枠からみると、出産や一部の家庭向けの支援施策に偏っているような気がします。

　西欧諸国でも少子化対策には様々な取り組みがあるのですが、その西欧諸国では「家庭政策(ファミリーポリシー)」という言葉が使われています。日本でも「家庭省」とでもいうべき省庁を発足させて、総合的な家庭支援をスタートさせる時期にきているのではないかと思います。

　令和の時代は国も社会も、そして私たちも子どもを中心とした家庭が大切にされる時代になることを心より願います。