セントリコン・システムとはベイト剤による新しいシロアリ防除法です。従来のバリアー工法とは異なり、管理という概念を中心に構成されています。 
 
             対象となる建物の周囲に、餌木を入れたセントリコン・ステーションと呼ばれるプラスチック製の容器を埋め込み、定期的にシロアリの活動状況を調査(モニタリング)することが作業の中心となります。そして、シロアリの採餌活性が認められたステーションにのみベイト剤を投与(ベイティング)します。シロアリの駆除が完了した後に残った薬剤はすべて回収します。このため、セントリコン・システムでは、必要最少限の薬剤量でシロアリのコロニーそのものを駆除することが出来ます。言い換えれば、不必要な薬剤を一切使用せず、環境への放出を最低限に抑えた、薬剤の効率と安全性の高いシステムで、これがセントリコン・システムの最大の特徴といえるでしょう。 
 
             さらに、コロニーの根絶を確認した後には、シロアリの再侵入を防ぐために定期的な点検を続けます。シロアリを駆除するだけでなく、建物を長年にわたって守り続ける点も、新しい特徴といって良いでしょう。 
 
             したがって、セントリコン・システムの基本は、薬剤を使わずにシロアリの活動を点検するところにあります。現在までの実績では、セントリコン・システムを設置した家屋のうち、設置初年度で約60パーセントの家屋にシロアリを検出し、一軒あたり平均して5本程度のベイト剤を投与しシロアリを駆除してきましたが、現在はシロアリもいず、薬剤もないきわめて健康な状態を保っています。 
 
             
            セントリコン・システムの環境汚染防止対策面での主な特徴 
- モニタリング(建築物周辺におけるシロアリの生息と活動状況の定期的な確認調査)の段階で建築物の周辺にシロアリの生息が確認されず、当面シロアリにより被害を受ける危険性がないと判断された場合には薬剤の使用は一切行わない。この場合定期的なモニタリングを継続的に続けることになる。 
 - シロアリ防除を目的として薬剤(ベイト剤)を設置するのは上記のモニタリングの結果シロアリの生息が確認され建築物がシロアリにより被害を受ける危険性があると判断された場合に限られる。しかもベイト剤の設置箇所はモニタリングの際にシロアリの生息が検知された箇所に限定される。そのためベイト剤の使用量(設置数)を最小限に減らすことができる。 
 - このセントリコン・システムではシロアリ防除効果が確認された時点(シロアリの駆除にはベイト剤の投与後通常であれば約2~3ヶ月必要)において設置したベイト剤すべてを回収することが出来るため環境中に残る薬剤量は極めて少ない。(シロアリが摂取する薬剤量は1物件あたり有効成分量としてわずかに1グラム程度またはそれ以下であり、その分が環境中に残る可能性があるといえる。ただしシロアリの体内に摂取された薬剤は速やかに分解されるために現実的にはほとんど環境中に薬剤が残ることはない。) 
 - ベイト剤(薬剤)は適切な容器に入れてステーション内にのみ設置されるため、環境中に薬剤が流失する危険性は極めて低い。 
 - 回収されたベイト剤は供給メーカー(ダウ・ケミカル日本株式会社ダウ・アグロサイエンス事業部門)が責任をもって焼却処分を行うため、回収された薬剤による環境汚染の危険性は極めて低い。 
 - セントリコン・システムを使ったシロアリ防除にたずさわる施工業者は環境汚染防止対策を含め高度の技術と知識を持っている。 
 
             
セントリコン・システムの取り扱いに関しては厳しい認定資格制度を取り入れておりダウ・アグロサイエンスの定める審査基準にパスしたシロアリ防除会社でかつダウ・アグロサイエンスが定期的に開催する研修セミナーに参加しその試験にパスした人だけにその使用が許されているため。 
セントリコン・システムの有効成分であるヘキサフルムロンは昆虫の皮膚、外骨格の主成分のキチンの合成を阻害する昆虫成長制御剤であり、哺乳類、魚類等に対する毒性が低く、システムとしての特性とも合わせて、セントリコン・システムを作業者・居住者はもちろん、一般環境にも極めて安全性の高いものにしています。 
ヘキサフルムロン(原体)の毒性試験データ 
            
| 急性毒性 | 
経口ラット | 
LD50 > 5000mg/kg | 
                 
| 経皮ウサギ | 
LD50 > 2000mg/kg | 
                 
| 吸入ラット | 
LD50 > 7mg/L | 
                 
| 眼刺激性 | 
刺激性なし | 
                 
| 皮膚刺激性 | 
刺激性なし | 
                 
| 皮膚感作性 | 
なし | 
                 
| 生殖性および変異原性 | 
染色体への影響 | 
なし | 
                 
| 催奇形成 | 
なし | 
                 
| 繁殖性(ラット) | 
有害な影響なし | 
                 
| 発癌性 | 
発癌物質ではない | 
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| 鳥類への影響 | 
コリンウズラ(反復投与) | 
LD50=900mg/kg | 
                 
| マガモ(反復投与) | 
LD50>5200ppm | 
                 
| 魚類への影響 | 
ブルーギル | 
LC50>100ppm | 
                 
| ニジマス | 
500ppmで1匹死亡 | 
                 
| 甲殻類 | 
ミジンコ | 
EC50=0.1ppb | 
                 
| 環境内での動態 | 
水溶性 | 
18℃で0.027ppm | 
                 
| 土壌吸着 | 
有機物と強く結合(KOC337-70877) | 
                 
| 土壌での浸透性 | 
50cmの模擬雨でなし | 
                 
| 蒸気圧 | 
5.87×10-9Pa(25℃) | 
                 
              
             
             
            ベイト剤(製剤) 
- ベイト剤は、セルロースを基剤として0.5%(w/w)のヘキサフルムロンを含浸させており、有機溶剤、界面活性剤などを一切含有しない。 
 - 粉体ではなく、紙状のセルロースに含浸させてある為、薬剤の飛散がない。 
 - 平均的なシロアリのコロニーを駆除するために必要なベイト剤の量は200グラム以下。 
 - 平均的なシロアリのコロニーを駆除するために必要なヘキサフルムロン量としては1グラム以下。 
 
             
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