せいし 幼稚園
 
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子どもたちは いま ・ ・ ・
 
 『蝉(セミ)
せいし通信 夏休み号

今年の梅雨は、78日には例年よりも10日ほど早く梅雨明け宣言が出て、なんだかあっという間に梅雨が明けてしまったような気がします。鳴き始めが遅れていたセミも、この梅雨明けで一斉に地上に顔を出して蝉時雨が始まりました。子どもたちもセミの声を聞くとなんだかソワソワ。やっぱりセミは子どもたちの興味を引く夏の風物詩の一つなのです。

セミは不思議な生き物です。日本にはアブラゼミ、ミンミンゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシなど30種類ほどのセミがいて、夏になると一斉に鳴き始めます。でも実はセミはその一生のほとんどを地面の下で過ごしています。6〜7年もの間地中でじっと木の根にとりついて水分を吸いながら大人になる日を待っています。地中で何回か脱皮して大きくなった幼虫は、夏のある日地上にはい出て羽化してセミの姿になるのです。そして、あのセミの大合唱。あれはオスがメスに「ここにいるよ〜」と知らせる愛の讃歌()です。そしてメスと出会い、交尾をするとオスは死んでしまい、メスも木に卵を産みつけるとやはり死んでしまいます。それはセミが地上に出てきて2週間ほどの間のことなのです。

ところがアメリカには、67年の地中生活どころか、13年、17年の地中生活を送った上で、一斉に大発生するセミがいるというのです。ひょっとしたら記憶に残っている方もあるかとは思いますが、このセミは2004年に、ワシントンやシンシナティで17年ぶりに大発生。「ワシントンに17年ぶりにセミが大発生」「シンシナティに50億匹のセミが現れる」などと報道されていました。しかもこのセミたちはなぜか、1平方キロメートルにもならない、狭いところに集中して現れるのだそうです。100m×100m40万匹。6畳の部屋に400匹のセミがいて鳴いている計算になるのです。想像するだけで

驚きよりも、なんだか怖いような気もします。その騒音たるやジェット機のエンジンにも匹敵する大きさといいますから、とんでもない大きさで、セミの鳴き声の中にいると会話ができないことはもちろん、30分もいればその後数時間は耳が聞こえない状態が続くほどの騒音だそうです。

 このセミ、英名でperiodicai cicadas(周期セミ)と名づけられていて、アメリカだけに生息しています。17年周期セミはアメリカ北部に12グループ、13年周期セミはアメリカ南部に3グループが存在しています。つまり17年ゼミのほうは17年間のうち12年間はアメリカ北部のどこかで現れ、13年ゼミは13年のうち3年間はアメリカ南部のどこかで地上に出て鳴き交わしていることになります。 この周期ゼミの謎、『なぜこんなに長年かけて成虫になるのか?』『なぜこんなにいっぺんに同じ場所で大量発生するのか?』『なぜ13年と17年周期なのか?』については、2億年前にはすでに地球上に存在していたことが化石からわかっているセミたちが、恐竜が絶滅した氷河時代を乗り越えて現在に生き残っていることの中に正解があるのですが、その説明にはとても紙面が足りません。興味のある方は、吉村仁・著「素数ゼミの謎」(文芸春秋社)をどうぞ !!

 網を振り回して、一日中セミを追いかけまわしていた子どもの頃の夏休み。 その追いかけ回されていたセミたちには、こんなにも不思議な謎に満ちた歴史があるのです。 子どもたちと、セミについてのこんな話を夏休みの間にいかがでしょうか?

 園長   遠山 和良
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