大正スウパアデホルメ漢字

明治天皇が崩御遊ばされたことにより一気にタガがゆるんだとしか思えない大正時代。舶来のアール・ヌーボーとアール・デコに彩られた華麗にして滑稽な時代である。特に漢字のデフォルメは「手書き」であることも手伝って百花繚乱。とにかく目をひけば良いという好き勝手な書体で溢れている。その中の一部を紹介したい。と言っても「これは○○体」とかってな本格的研究モノではなく「こいつ楽しいやん」ぐらいの遊び感覚である。文字はそこへんの本とかに載ってた当時の広告などで見つけた物だが写真をそんまま載せるのはいかんだろーと思いトレースしている。原版を見たい人は自分で探そう。

売  当時もっとも人気があったと思われる書体がこれ。下の2つも同じ種類だが、四角いとこの底辺部分がグニョーンと垂れ下がっているもの。確かに流麗な雰囲気の書体で個人的にもいっちゃん気に入っている。そーゆーワケで↓
鹸 お題目(東呆夜話)も、この書体をベースに手書きした。なにせ書体名が判らんから探しようがないもんねフォント…他の特長としては上下の割合。8;2から9;1ぐらいで下がでかい。しかも縦長に書くことで、よりいっそう↓
歯 洒落た感じに仕上がるという段取りのようだ。アール・デコだよね思いっきり。直線と曲線がいー感じで混ざってて。カタカナっぽい漢字って感じヾ(・・;)。あ一番上のは「売」の旧字だよ。
粉 これも基本的には上の書体だと思われる。てゆーか上のと並んで書いてあったし。これの「刀」の部分も面白い。米へんがあるから雰囲気で判るものの単品なら、ただのヒゲだもん。「八」との間に点2個入れたら…ね。
映 今度は上とは逆に四角の上側をポッコリ盛り上げた書体。でもやっぱり7;3ぐらいで下がでかいし縦長である。また「日」の中棒のフニャフニャも好んで使われていたようである。やっぱアルファベットの影響なんだろーか…
庭 これはもうフニャフニャのオンパレードである。
性 これまたフニャフニャ仕様だが、上のよりは洒落た雰囲気になってる。さらに今度は7;3で上がデカくなっている。原版は「女性」と書かれたものからの抜粋だが、いかにも色っぽい感じを出したかったんかな…
眞 極太フニャフニャ仕様。しかも「目」の中棒2本が「3」みたいになっとる。これは「真」の旧字体。しかしまぁ好きーにデザインしとるよねー。なんかファミコン初期のゲームのキャラクターに見えんこともない。
鳴 これはなんか現代でもありがちな感じ。JTCウィンに似てないこともない。でもやっぱり現代の感覚とはちょっとだけズレてそーな雰囲気である。やからこそレトロっちゅー話になるんやろーけどさ。
金 これが変な感じ。つかみ所のない書体である。コメントしようがないっちゅーか…なんか妙なインパクトをもった図形である。…図形だよなこれ。
界 「介」をこう書くのも当時流行ったみたいである。この形はよく見るから…パッと見、ワカらんよねこれじゃ。
第 竹かんむりも、こんな感じに省略されてる。てゆーか図形化されとるっちゅーほうが正しいのか。まぁ漢字自体が元々は象形文字なんやから「図形化」ってのも漢字に失礼なのかも知れん。「漢字」のほうがよっぽどSDやって言われても↓
野 文句言えんと思う(象形時代の人に言わせりゃ)。この「予」もなんかスゴい形になっちまっとる。もちろん今の漢字を基準にしたらの話。人間は何でもすぐ”道”にしたがる生き物で書き順とか書体とかいろいろ決めちゃって自分達の首を↓
紀 絞めちゃったりしてさ。ウチのカミさんも書き順にうるさくて子供がヘコんだりとかする。手紙でも書類でも出来上がった字を見るワケで書き順なんか見ないのにね。ところでこの「糸」はカッコいい形だね。
袋 これの元はネオンなのだが「衣」がシャカシャカ足になっちゃっとる。今こんなことしたら100%怒られるよね。
険 これは「険」の旧字体で、まぁ旧字をクルクルっと手書きしたって言えば、それまでのモンである。こんなんでもポスターとして採用されとるんやから、いい時代である。
会 これも「会」の旧字。これはいわゆる篆書っぽいヤツなのかな?よー知らんケド。仲本工事の似顔絵かと思っちゃうよね。デストロイヤーか…
作 これもまた前述の「3」を使ったヤツ。ワカらんやろこれじゃさぁ。個性的なのはいーけど限度があらーね…
社 これもサボテンにしか見えん。
竹 これよ。ここまでデフォったらもう思い残すこともないやろう。これは…反則だよね。いや確かに楽しいけどもやね…流石のウチの娘もこれだけは解らんやった。

と言う訳で、大正文化っちゅーのは面白い。明治ってのは相当に厳格な時代だったんだろう。ギャップが激しすぎる。崩れまくりである。漢字だけじゃなくネ。日本人の感性そのものが。もちろんいい方向に崩れとるんやけどね。ものの本によると、これらは書体学(?)的にはスクリプト系のデコラティブっちゅー部類に属すらしい。旧ドイツ国字のブラックレターや篆書や象形のいいとこを取ってアールヌボったりアールデコったって感じのものらしい。結局「デコ」ってことは「書」というより「絵」に近い訳で、やややっぱし「手書き」なので、ひひ人の数だけ、かかか形がそーそー存在するんだなぁ、ややっぱし。

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