分析試料の概要

 最初に、採取陶石を室温乾燥後、ジョー・クラッシャーにて1.2mm以下に粗砕し、更に高速振動粉砕機を使用して、試料2gを 10ml アルミナ容器中で30秒間粉砕した。粉末X線回折及び熱天秤の測定は、上記粉砕試料を用いた。
 鉱物組成は、最初に、種々の採取試料34種類を用いて、X線プロファイル法による石英、カオリナイト、長石、石灰石、菱鉄鉱の定量を行った。同時に、各鉱物の積分強度を測定した。X線プロファイル法による上記鉱物の含有割合と積分強度とは、セリサイトを除き良好な相関を示した。そこで、34種類の全試料を用いて、両者の関係から検量線を導き、石英、カオリナイト、長石、石灰石、菱鉄鉱の含有割合を算出した。なお、セリサイトの含有割合は、配向効果のため定量精度が悪かったので、100wt%から上記の鉱物の合計量を差し引いた値とした。
 化学組成は、蛍光X線分析装置を用いて測定した。まず、種々の採取試料を34種類用いて、湿式法により化学分析値を測定した。 次に、同種類の前記粉砕試料とPXパウダーを9:1の割合で混合し、前記高速振動粉砕機を用いて 10分間混合・粉砕した後、40MPaの圧力で乾式プレスした試料を用いて蛍光 X 線分析を行った。両分析結果を基に検量線を作成した。次に、全採取試料の上記法による蛍光X線分析を行い、上記検量線を用いて化学組成の定量を行った。
 耐火度は、58 試料を用いて測定した熱膨張曲線におけるTS5と、同じ試料を用いて測定したJIS法による耐火度との下記相関式から推定した。熱膨張は、前記粉砕試料0.5gを250MPaの圧力で外径10mm高さ約3mmの平板状に乾式プレスした試料を用い、昇温速度10℃/min、荷重10gの条件で測定した。
 TSK=-0.001931TS52+6.288TS5-3464
 ここで、TSK は耐火度の値に対応する温度(℃)、TS5 は、下記相関式を用いて補正した温度(℃)。
 TS5=T5-0.728W10+29.12
 ここで、T5は熱膨張係数が0.0005/℃になった温度(℃)(測定結果参照)、W10は、試料中に含まれている10μm以上の粒子の含有割合(wt%))