可視光応答型 3 次元微細セル構造光触媒フィルター及びその製造方法並びに浄化装置

出願番号特願2010-192924(2010.8.30 出願)
特願2005-505785の分割(2004.4.22 原出願)
公開番号特開2011-589(2011.1.6 公開)
特許番号特許第5344489号(2013.8.23 登録)
特許権者独立行政法人 産業技術総合研究所
発明者 谷 英治、木村 邦夫

【要約】光触媒へ照射する光の管理が容易であり、しかも可視光でも作動し、 高効率の光触媒作用が得られ、製造の容易な可視光応答型 3 次元微細セル構造光触媒フィルター 及びその製造方法を提供する。

【解決手段】 本発明にかかる可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターは、 気孔率が85容量%以上のスポンジ状多孔質構造体(A)表面に、 アナタース型の酸化チタン皮膜が形成されてなり、且つ、 前記スポンジ状多孔質構造体(A)が、(b)シリコン、並びに、 炭化ケイ素、(d)アモルファス炭素、(e)チタン、並びに、 炭素、からなる群より選ばれる何れか一種からなるスポンジ状多孔質構造(B)からなる。

【代表図面】

【特許請求の範囲】

【請求項1】気孔率が85容量% 以上のスポンジ状多孔質構造体(A)表面に、アナタース型の酸化チタン皮膜が形成されてなり、且つ、前記スポンジ状多孔質構造体(A)が、 炭化ケイ素とシリコンとからなるスポンジ状多孔質構造(B)からなるとともに、 前記スポンジ状多孔質構造(B)を構成するスポンジ状骨格の架橋太さの平均が1mm以下であり、且つ、 シリコンと炭化ケイ素との組成のモル比(Si/SiC)が0.1〜4であることを特徴とする可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルター。

【請求項2】気孔率が85容量% 以上のスポンジ状多孔質構造体(A)表面に、アナタース型の酸化チタン皮膜が形成されてなり、且つ、 前記スポンジ状多孔質構造体(A)が、炭素とチタンとからなるスポンジ状多孔質構造(B)からなるとともに、前記スポンジ状多孔質構造(B)を構成するスポンジ状骨格の架橋太さの平均が1mm以下であり、 且つ、チタンと炭素との組成のモル比(Ti/C)が0.1〜2の範囲内であることを特徴とする可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルター。

【請求項3】請求項1または2に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターを備えていることを特徴とする浄化装置。

【請求項4】両端に流体導入口と流体出口が設けられるとともに外部には可視光及び/または紫外線を透過できる透光域が設けられた容器と、 前記容器の内部に収容された光触媒フィルターとを備え、 前記透光域から受光した可視光及び/または紫外線により光触媒フィルターが前記流体導入口から流入した流体を浄化して前記流体出口から排出する可視光応答型の浄化装置であり、 前記光触媒フィルターが、 前記可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターを平板状に形成したフィルターユニットで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の浄化装置。

【請求項5】流体導入口と流体出口とが両端に設けられた容器と、前記容器の内部に収容され内部に円筒状空隙が設けられたリング状光触媒フィルターと、 前記リング状光触媒フィルターの円筒状空隙内に設けられ可視光及び/または紫外線を照射できる光源とを備え、 前記光源から照射された可視光及び/または紫外線により光触媒フィルターが前記流体導入口から流入した流体を浄化して前記流体出口から排出する可視光応答型の浄化装置であり、前記光触媒フィルターが、前記可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターをリング状に形成したフィルターユニットで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の浄化装置。

【請求項6】炭化ケイ素とシリコンとを含むと共に気孔率 85 容量% 以上のスポンジ状多孔質構造体(A)を、酸化チタンを含有または生成する溶液に浸漬し、 乾燥した後、酸化雰囲気下において100°C〜 800°Cで焼成することを特徴とする可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項7】スポンジ状骨格を有すると共に炭素化時に熱分解する原型構造体(C)に、炭素源となる樹脂と、シリコン粉末とを含んだスラリーを含浸させた後、 この原型構造体(C)を、不活性雰囲気下において 800°C〜1300°C で炭素化し、さらに、1300°C 以上で反応焼結させて得られた焼結体に、さらに、 1300°C 〜1800°Cでシリコンを溶融含浸させて前記スポンジ状多孔質構造体(A)を形成することを特徴とする請求項 6 に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項8】前記スポンジ状多孔質構造体(A)が、スポンジ状骨格を有する高分子化合物、あるいは天然素材の繊維、糸または紙類からなる原型構造体(C)に、 炭素源となる樹脂と、シリコン粉末とを含んだスラリーを含浸させた後、この原型構造体(C)を、不活性雰囲気下において 800°C〜1300°C で炭素化し、さらに、 1300°C以上で反応焼結させて得られた焼結体に、さらに、 1300°C〜1800°Cでシリコンを溶融含浸させることにより形成されるスポンジ状骨格から構成されていることを特徴とする請求項6に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項9】前記原型構造体(C)のスポンジ状骨格における架橋太さの平均を1mm以下とし、シリコンと炭素との組成のモル比(Si/C)を0.1〜2の範囲内にする量の上記シリコン粉末を用いて、 前記原型構造体(C)の形状を保ったスポンジ状多孔質構造体(A)を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項10】前記原型構造体(C)のスポンジ状骨格における架橋太さの平均を1mm以下とし、上記反応焼結により得られた焼結体に、シリコンと炭化ケイ素との組成のモル比(Si/SiC)を 0.1〜4 にする量のシリコンを含浸させて、 前記原型構造体(C)の形状を保ったスポンジ状多孔質構造体(A)を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項11】アモルファス炭素からなると共に気孔率 85 容量% 以上のスポンジ状多孔質構造体(A)を、酸化チタンを含有または生成する溶液に浸漬し、 乾燥した後、酸化雰囲気下において100°C〜500°Cで焼成することを特徴とする可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項12】スポンジ状骨格を有すると共に炭素化時に熱分解する原型構造体(C)に、炭素源となる樹脂を含んだスラリーを含浸させた後、 この原型構造体(C)を、不活性雰囲気下において800°C〜1300°Cで炭素化させて前記スポンジ状多孔質構造体(A)を形成することを特徴とする請求項11に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項13】前記スポンジ状多孔質構造体(A)が、スポンジ状骨格を有する高分子化合物、あるいは天然素材の繊維、糸または紙類からなる原型構造体(C)に、 炭素源となる樹脂を含んだスラリーを含浸させた後、この原型構造体(C)を、不活性雰囲気下において800°C〜1300°C で炭素化させることにより形成されるスポンジ状骨格から構成されていることを特徴とする請求項11に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項14】炭素とチタンとからなると共に気孔率85容量%以上のスポンジ状多孔質構造体(A)を、 酸化チタンを含有または生成する溶液に浸漬し、 乾燥した後、酸化雰囲気下において100°C〜500°Cで焼成することを特徴とする可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項15】スポンジ状骨格を有すると共に炭素化時に熱分解する原型構造体(C)に、炭素源となる樹脂とチタン粉末とを含んだスラリーを含浸させた後、この原型構造体(C)を、 不活性雰囲気下において800°C〜1300°Cで炭素化させて前記スポンジ状多孔質構造体(A)を形成することを特徴とする請求項14に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項16】前記スポンジ状多孔質構造体(A)が、スポンジ状骨格を有する高分子化合物、あるいは天然素材の繊維、糸または紙類からなる原型構造体(C)に、炭素源となる樹脂とチタン粉末とを含んだスラリーを含浸させた後、 この原型構造体(C)を、 不活性雰囲気下において800°C〜1300°Cで炭素化させることにより形成されるスポンジ状骨格から構成されていることを特徴とする請求項14に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

【請求項17】前記原型構造体(C)のスポンジ状骨格における架橋太さの平均を1mm以下とし、チタンと炭素との組成のモル比(Ti/C)を0.1〜2の範囲内にする量のチタン粉末を用いて、 前記原型構造体(C)の形状を保ったスポンジ状多孔質構造体(A)を形成することを特徴とする請求項15または16に記載の可視光応答型3次元微細セル構造光触媒フィルターの製造方法。

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