耳納断層-1
久留米市の山川前田遺跡のトレンチに現れた耳納断層
(1992年11月14日撮影)

 耳納断層は、福岡県久留米市東部から浮羽郡浮羽町まで、耳納山地の北側に沿って東西に延びる、延長30km近い活断層で、「九州の活 構造」(九州活構造研究会編)によれば、確実度T,活動度B(1000年あたりの平均変位速度が数十cm)クラスの断層とされています。 
 写真に示す断層は、久留米市教育委員会によって掘削されたトレンチに現れたもので、耳納活断層系中の追分断層に該当し、約2万5千年前の姶良カルデラの 形成時噴出されたAT火山灰(オレンジ色を示す部分)を明瞭に切っていることから、それ以降に活動したことが明らかです。 
 この断層の最も新しい活動によって発生した地震が、日本で最初に文献(日本書紀)に記された西暦679年の『筑紫の大地震』だと考えられ、久留米市教育 委員会発行の歴史散歩bPには、次のように記されています。 
 
 調査では、4回の活動痕跡も確認され、AT火山灰の堆積前に1回、同火山灰堆積後に3回、計4回の地震活動があったことが明かとなり、さらに最新の活動 による地割れ充填堆積物の中に土師器が含まれ、上部を鎌倉時代の遺物包含層に覆われていたことや、筑後地方の遺跡に残る地震跡・地震資料などの比較検討か ら、天武7年12月の『筑紫国地震』の震源断層であることが判明した。

 
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