久留米市は、九州の北部、福岡県南西部に位置し、中心商店街は、西鉄久留米駅周辺の市街地再開発や商店街のアーケード整備が進んでいる。平成10年の中心市街地活性化法に基づく基本計画により、商店街、久留米市、街づくり会社が連携して事業に取り組んできた。
あけぼの商店街では、大型店の出店や店主の高齢化の影響による空き店舗の解消策としてチャレンジショップ事業を行っていたが、チャレンジショップの出店者が、1年間の期間終了後に独立開業に結びつかないという悩みを抱えていた。そこで、商店街では、チャレンジショップ事業と並行して、長期的に商業者を育てるため、地元高校生を商業者として育てる事業を行う計画が持ち上がった。
また、近年インターネットを活用して売上げをアップさせている商店街や個店がマスコミなどで紹介されている。そこで、商店街の店主が協力してインターネットを活用した商品販売や販売促進を行う取組みを始めた。
商店街が、地元の商業高校とタイアップして商業者育成事業を行うと同時に、商業者の育成を図るための高校生によるバラエティショップ事業を行っている。概要は以下のようになっている。
商店街と久留米商工会議所の発案で、近隣の久留米商業高校の生徒を商業者として育てる事業を行っている。
その方法は「模擬株式会社」形態で高校の授業では学ぶことができない、実際の現場で商業経営を行うものである。平成15年、久留米商業高校の一年生10名が発起人となり、学生から一口500円ずつの出資金を募って資本金10万円で模擬株式会社(名称:ベンチャーズ)が開始された。現在は、1学年から6〜7名の合計20名弱がベンチャーズのメンバーとなっている。社長、総務、販売、仕入れなどを学生がそれぞれ担当するなど実際の株式会社と同様の機能を持ち合わせている。
平成15年から、商店街が実施するイベント時に、ベンチャーズが、商店街の支援を受けながら企画、運営する模擬店「ベンチャーズ図南(となん)」を出店している。商店街としては将来の商業者を育てる場、高校生としては商業体験ができる場となっている。店舗では、飲食、玩具、衣料品の3種類が販売される。
仕入れについては、高校のOBなど関係者の協力を得て低価格で購入、仕入れに許可が必要なものは商店街が仕入れて図南に100%委託販売する形態とした。商売のノウハウなどは商店街側がアドバイスしている。イベントが終了して数日後に模擬株主総会を行い決算報告がなされる。初回の出店2日間の総売上高は約45万円で、利益は約10万円となった。
平成16年から、商店街HPと携帯サイトをあけぼの商店街独自で立ち上げ、商店街のイベント情報や商店街への新店舗出店情報の発信、収集を行っている。事業の概要は以下のようになっている。
平成17年に、ネット通販を活用して自店の売上げアップを図りたいと考えた店主3人が集まって勉強会を開催した。商店街にはITに詳しい人がいなかったが、技術も徐々に向上し、商店街HPのみならず自分たちの個店のHPを立ち上げるまでになった。
商店街HPでは、商店街の案内に止まらず、地域の情報や生活に役立つ情報なども掲載している。また、店舗で扱っている商品のインターネット通販も行っている。現在、販売している商品数は20種類である。HPで販売する商品の魅力向上を図ろうと「帆前掛けトートバック」といったオリジナル商品を販売する店舗も現れている。
HPは商品を並べることをメインと考える一方、携帯サイトは販売促進のためのチラシと考えている。各店舗の場所がわかる地図や駐車場案内、ランチ情報、イベント情報などを掲載している。毎日更新している店舗もある。ほとんどの店主は、パソコンを持っていなくても携帯電話は持っているため、携帯を使って情報更新をすることができるようにしている。紙ベースのチラシと違い形態サイトへの情報掲載は無料なので、若い店主を中心に積極的に活用しており、毎日更新している店舗もある。
商店街や会議所が企画した模擬株式会社ベンチャーズが設立されたことで、高校生が現場の商業に接する機会が増えた。ベンチャーズの出店したバラエティショップ図南では2日間で500人以上の集客があった。高校生の呼び込みの声が大きく、商店街に活気があふれイベントが盛り上がった。また、商業者を育成化につながることから、本事業は長期にわたって継続していく予定である。
商店街HPのアクセス解析では、相互リンクの効果が順調で、携帯サイトも順調にアクセスを増やしている。アクセス数の増加とともに、飲食店を中心に個店の売り上げもアップしている。特に、積極的に情報更新している店舗については、アクセス数、売上げ共に順調に推移している。
ネット通販は週一回程度の注文しかなく苦戦している。今後は商品数を増やすため、他の商店街にも商品掲載を呼びかけ、魅力ある商品構成になるよう計画している。
全国商店街振興組合連合会・平成18年中小企業庁委託事業
「商店街活性化に係る事例調査研究」報告書より転載しました。
平成19年3月発行
同書の巻頭の文